権力と闘ってる感満載の雑誌があった
噂の真相というなんとも下品だが"権力と闘ってる感満載"の雑誌があった。学生運動が完全に終焉し、社会が沈滞していた時に登場、われわれ世代の一部には爆発的人気となった。
創刊は1979年、廃刊は2004年だから4半世紀、社会をえぐり続けた。その名物編集長、岡留安則さんが肺癌のため亡くなった(享年71才)
元学生運動の活動家。法政大学時代はプロ学同(プロレタリア学生同盟)に所属した。
ちゃんと社会学部を卒業し、学士入学した法学部まで卒業してるから、以外だ。
こちらが心配になるほどの怖い記事もあった
この雑誌はどの党派にも属さないノンセクトラジカルズというか、アナーキーな雰囲気満載の編集だった。
いきなり白黒の昭和チックなエログロなヌードグラビアは、“アラーキー”こと写真家・荒木経惟撮影で、いかにもアンダーグラウンドな猥雑な雰囲気を醸し出していた。
記事は大新聞に載っていないスキャンダラスなネタが満載。政界の闇、芸能界の闇などを取材したもので、『こんなこと書いて岡留さん、大丈夫なんやろか?』の記事も多く、こちらが心配したものだ。
右翼らの圧力で一時全ての広告主が撤退したが、本の売り上げだけで最後まで黒字を通した。
印刷所はどこに依頼しているか極秘事項だった。
名誉毀損もへっちゃらだった
過激な編集は度々、名誉毀損事件なども起こしたりもした。
東京高検検事長の女性スキャンダルを暴き、さらにそれを朝日新聞が後追いし、辞任に追い込んだ大特ダネもあった。
いつも右翼の批判にさらされ、警察や検察には監視されても岡留さんは闘い続けたが、2004年、ついに休刊へ。
休刊についてはいろいろ取り沙汰されたが、真相は分からなかった。
当時、岡留さんは「タブーはほとんど書き尽くした。名誉毀損での賠償金の高額化や個人情報保護法でスキャンダル報道は難しい状況になっている」としていた。
岡留さんといえば新宿ゴールデン街しか浮かばないが、休刊後は沖縄へ移住。スナックを経営する傍ら、ブログなどで言論活動は続けていた。
今こそ『噂の真相』が欲しい。暴き切れないほどのネタがあったと思う。
もりもと なおき