ご存知のように癌には1から4までステージがあります。学術レベルなどでステージが上がって行くのは素晴らしいけれど、癌の場合、ステージが上がるにつれ、当事者の絶望感は増していきます。
毎年、新聞などにさまざまな癌のステージ別の"5年生存率"が発表されますが、あれって本当に癌患者には残酷なんですよ。
私の場合は胃がんでステージ4、それに肝臓に遠隔転移がありました。
内視鏡による胃がんの巨大さに衝撃を受け、さらに肝臓内にもがんが5つも有るCT画像を見た時の絶望感は、なかなかのものでした。

選挙で落選した時とほぼ同じ感覚だったから、落選というのも相当な精神的ダメージだということがよく分かりました。
そんな訳で胃がんのステージ4の5年生存率は5〜6%、肝臓転移もあるからさらにこれより低かったのは間違い無いでしょう。
100人いたら5年生きている人はせいぜい5〜6人といったところ。昨年5月の段階で、手術もできない私の余命は当初6ヵ月だったから完全に末期癌だったのです。
今、1年半にも及ぶ抗がん剤治療の甲斐あり、私の胃と肝臓の癌は奇跡的に消失しています(完全奏効状態)

これは本当に粘り強く治療を続けていただいている徳島大学病院消化器外科(島田光生教授)の凄さだと実感してます。
現在の私の生存率はどう変化しているかは分かりませんが、恐らく5年が経過するまでは5〜6%という数字は変わらないと自分では自覚しています。
なぜなら途中、"再発"の可能性はずっと抱えたままだからです。
結構、精神的にしんどいものはありますが、末期癌も抗がん剤治療だけでも頑張れることを、示していく使命感が湧いてきています。
私が幸せなのは当初、副作用で倒れた一時期を除き、この1年半、一見ごく普通に生活ができていることです(治療のため毎月、数日間の入院、定期的な検査はありますが)
もちろん抗がん剤の副作用はずっと付き纏っていますが、何より良かったのは吐き気がほとんどなかったことです。
美味しいものを好きなだけ食べることで病気と闘う体力がつきました(味覚障害はキツかったけど)
今後の展開は分かりませんが、あらゆるケースを知っている絶大信頼する医師たちに委ね、私はケ・セラ・セラで。
癌と闘うということはこういうことじゃないかというのが、死の淵を見た私の結論です。
もりもとなおき