『がん発見から治療開始までの時間は、東京より地方が圧倒的にスピード感がある』
40数年も前、徳島県警察本部の記者クラブで、ともに駆け出し記者として頑張った大手通信社のF君から、今、徳島に来てるよと、連絡があった。
会うのは5年ぶりだったが、聞けば一昨年初め、彼もがんに犯され、なんと大腸がんと肺がんを続けて手術をしたとのことだった。
ともにステージ3bというからかなり重篤な状態だったとか。どちらかが転移したのではなく、ともに原発性というから、2つの恐ろしいがんが彼のからだの中で同時進行していたのだろう。
少し驚いたのは、初めに大腸内視鏡をした病院で癌の疑いとの診断を受けてから、紹介された医科大学系列の病院で診察、検査を受けることができたのが1か月後。
さらに大腸がんの手術までに2ヶ月近くを要し、肺がんの手術はさらに1ヶ月も後だったという。
それまでかなりの日数が経っているとはいえ、ステージ3のがん患者としてはさぞ落ち着かなかったに違いない。
本人も『1日も早くオペをしてもらいたく、かなり焦ったよ』と、振り返る。
手術はともに上手くいき、今のところ転移などは見られない。しかし術後の抗がん剤治療の副作用がキツく、予定より早く切り上げてもらったという。
翻って私の場合は徳島市内の内科医院での胃カメラで、かなり酷いがんが見つかったのが今年の5月6日だった。
そのドクターは『もう思案する時間はありません』と、その場で徳島大学病院消化器・移植外科に予約を取ってくれた。
結果、最短の5月10日の朝イチに外来で担当教授の診察を受ける運びになった。
そして翌日には入院し、翌々日の12日には抗がん剤治療がスタートした。

がん発見からわずか6日後の早業で、その迅速な対応がなく、東京だったら私はもういなかったような気がする。
こうした診療のスピード感、大学病院での医療の高いレベルを考えると、地方と東京の医療の格差って本当にあるのかと思う。
もりもとなおき