ジェンダーフリーの立場からだと信じられない歌かもしれない。でも半世紀前だとこんな歌が大ヒットし、テレビやラジオで毎日、流れていた。今なら有り得ないかな。
最近、YouTubeで昔のヒット曲をよく聴いているが、例えば奥村千代の『恋の奴隷』(なかにしれい作詞、鈴木邦彦作曲)には改めてびっくりした。

とにかくタイトルからして凄い。歌詞はというと
いきなり
あなたとあったその日から/恋の奴隷になりました
さらに
悪いときはどうぞぶってね/あなた好みの/あなた好みの/女になりたい
『どうぞぶってね』って、これって完全にDV OKということだろう。
さらに
右といわれりゃ右向いて/とても幸せ
とか
好きな時に思い出してね/あなた好みの女になりたい…って、"やりたい時だけ思い出してくれてもいいよ"ということじゃないのか?
あと、私の好きないしだあゆみの歌もなかなかだ。
例えば『砂漠のような東京で』(橋本淳作詞、中村泰士作曲)は、
砂漠のような東京で/あなたひとりのしもべとなって/夜も寝ないで女のまごころ尽くすのよ
しもべはダメだろう。
すでにこの時代、ウーマンリブということばもあったし、榎美沙子氏らの中ピ連の活動もあったが、こうした歌が普通に支持されヒットしたのだ。
半世紀経ったいまもこうした歌はなくなっても、果たして日本の女性の立ち位置はどうか。
2022年のジェンダーギャップ指数は世界で116位、先進国どころか途上国を含めても極めて低位になっている。
もりもとなおき