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ふるさと納税。制度の抜け穴を利用する自治体が良い制度を破壊する

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異常な返礼品競争に陥った現状


ふるさと納税の返礼品競争があまりに酷くなっている。田舎の町が電化製品やハワイ宿泊券を返礼に用意し、莫大な寄付を集めるケースもあり、あまりにも趣旨を逸脱している。

このため政府は制度の抜本的な見直しに踏み切ることになり、返礼品を『仕入れ値が寄付額の30%超』や『地場産品以外』となっている自治体を、制度の対象外とする構え。

一部自治体は反発しているが、真面目に地場の特産品のPRに頑張る自治体はたまったものじゃない。趣旨を逸脱した自治体には厳しく対処すべきだし、こういうことがまかり通るなら、制度そのものを廃止せざるを得ないではないか。

当初から予想ができた


ふるさと納税については私は実は当初からこうなる予感がしていた。寄付をしたら2000円だけ取られ、あとは所得税還付で戻ってくる。そして何より2000円を遥かに超える高価な特産品が寄付をした自治体から送られてくる。

極端な話、わずか2000円でなかなか口にできない高級肉や、メロンなどの果物などが手に入る。これはもちろん地場の産品であれば何も問題ない。

しかし電化製品や地域と何の関係もない商品をあつかましくも堂々と扱い出す自治体が出てきたから、問題になってきた。制度にほころびが出始め、やっと総務省が指導に乗り出した訳だ。

還付だけの自治体、たまったものでない


特産品が多く、寄付がどんどん増える自治体は有り難いことだが、特に目ぼしい特産品もなく、他の自治体に寄付をした住民に税金を還付だけしなければならない自治体は、たまったものではない。

さらに町の特産品でもない商品を、まるで景品のように返礼に使うデタラメな自治体も出てきた。

東京23区では税金の還付だけで何十億円にも及ぶ区は、財政を圧迫し大変なことになっている。

こういうことを考えると、当初から極めて不公平な制度。無理をするから当初の趣旨を逸脱した自治体が登場し、やらなきゃ損みたいになってきたのではないのか。

私も娘経由でふるさと納税返礼品としてカニを送ってもらったことがあるが、送り先は千葉県のある町から。千葉でカニが?と思ったが、その町の水産加工会社によるものだった。

家電量販店の電化製品やハワイ宿泊券も


総務省がチェックを入れた自治体の内容、返礼割合の酷い例だが▼茨城県境町(ハワイのホテル宿泊券など、返礼割合65%)▼静岡県小山町(ヘリコプター周遊券など、40%)▼大阪府泉佐野市(うなぎ、寿司など、50%)▼佐賀県唐津市(サプリメント、化粧品など、52%)▼佐賀県みやき町(電化製品、ギフトカード、49%)など。

泉佐野市はなんと135億3000万円、みやき町など72億2000万円もの寄付を受け入れていた。

みやき町のHISギフトカード。寄付20万円で


こうした悪質なやり方を何年続けていたか分からないが、総務省の監督不行き届きも批判されるべきだ。

こういうことを考案したり、平気で続けてきた自治体の市長や町長、役所の職員らは、真面目に特産品を育て売り込む努力をしている自治体に顔向けできるのだろうか。まだ居直っている首長もいるというから驚きだ。

徳島の小さな田舎町でも一生懸命、地域の産品を育て、ふるさと納税返礼品とするため地道に頑張る自治体をたくさん知っている。デタラメな自治体には本当に腹が立っている。

もりもと なおき

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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