『刮目して見てきたジャーナリストの訃報は悲しい』
話したことも会ったことがなくとも、男にはずっと刮目して見てきた人物がいる。私もいる。昨日、そのひとりの訃報を聞き、少なからずショックだった。
元朝日新聞編集局長、外岡秀俊さん(68)だ。東大法学部4年の時、歴史に残る名作『北帰行』で文藝賞受賞。小説家にはならず鳴り物入りで朝日新聞社に入社した。


当時の朝日新聞といえば3000人が受験して合格は僅か20人という超難関。記者を目指した自分も"記念受験"したが、到底合格する訳もなかった。
私も受けたこの年は文藝賞の外岡君が入社し、当時の朝日新聞の入社試験トップの証である新潟支局赴任を週刊誌報道で知った。
同じ1977年4月、地方紙記者でのスタートを切った自分としては、新聞記者として負けないで頑張ろうと思ったのを、昨日のことのように覚えている。
やはりその後の外岡さんの活躍は凄かった。そしてやり手の記者としての評価はもちろんだが、朝日の良心とまで評される真のジャーナリストだった。
最近はまた小説家に戻って作品を発表していた。ジャーナリストとして多くの心ある後輩たちにも多大な影響を与えていた。
残念というより、悲しい。
長渕の『とんぼ』でも聴かなければやり切れない。
もりもとなおき