SNSの投稿でよく目にするのは、マスコミは菅政権に忖度し、東京オリンピックに否定的な見解を示さないとの意見だが、これは間違っている。忖度どころが東京五輪の実現を一番強く望んでいるのは自民党の政治家どころか、日本の全てのメディアなのだ。

全てのテレビ、新聞は政府以上に東京五輪を待望している
東京のキー局はじめ全国津々浦々全ての放送局、そして朝日、毎日、読売の全国紙と全てのブロック紙、地方紙も、もちろん例外ではない。
わが国のオールメディアは電通など大手広告代理店と繋がる東京五輪関連の膨大な広告集入をあてにしている。のどから手が出るほど欲しいのだ。
コロナ不況の中、皮算用していた五輪関連広告が消えるとなると、彼らにはとてつもない打撃だ。
しかしながらこのコロナ禍だ。国民の70〜80%が東京五輪の中止、もしくは延期を望んでいる。こんな背景もあるからこうした世論にも忖度しなくてはならない。
反対の声もガス抜きで拾うのはわが国メディアの姑息さだ
ニュース番組で有名コメンテーターに批判をさせたり、批判的な街の声も拾い、ガス抜きもする。ここが日本のメディアの極めて姑息で愚劣な一面なんだと思う。
東京五輪で最大の放映権を持つアメリカNBCが、日本のコロナ禍の下での聖火リレーを厳しく批判したが、ここが日本のメディアと、一番の違いなだろう。
だから自民党二階幹事長の『五輪はやめる時はズバッとやめる』との数日前の発言に肝を冷やしたのは誰よりもマスコミの連中だったのは間違いない。
徳島新聞も聖火リレー一色だったわが地元紙徳
島新聞を見ても15、16日と県内で聖火リレーがあったが、記事は何と一面、社会面トップの扱い。
両日とも県内は過去2番目の新規コロナ感染者が出たが、徳島新聞は大いに五輪ムードを煽っていた。

目先の広告収入より大切なものがあるはずだが
現在のように世界的に深刻なコロナ禍の下で無ければメディアがオリンピックムードを高めるのは何の問題もない。
しかしながら現在は毎日、4000人を大きく超える新規コロナ感染者があふれ何十人もが亡くなっているのだ。
新聞、テレビの経営のための五輪広告も理解できるが、全てのメディアは国民に支えられていることを忘れてはいけない。
中にはまともな考えの記者たちも多いが、そんな記者の声は非国民の如くかき消される。目先の広告収入より大切なものがあるんじゃないだろうか。
もりもとなおき