有力芸能事務所に忖度し、逆らえないテレビ局の残念さ
ジャニーズ事務所へのテレビ局を中心としたメディアの酷い忖度ぶりは、誰でも分かっていた。なぜなら悪い話は何故かニュースになることがなかったからだ。
しかしこの度NHKが、"公正取引委員会がジャニーズ事務所に、『独禁法違反につながる恐れのある行為が認められた』と注意を促していた"と、特ダネの如くニュースを流した。
グループの分裂でジャニーズ事務所を出た「SMAP」の元メンバー3人を、出演させないようテレビ局に圧力をかけた疑いがあるとしたものだ。

2016年12月に解散したSMAPのメンバー5人はその後しばらく同事務所でソロとして活動していたが、稲垣吾郎さん(45)、草なぎ剛さん(45)、香取慎吾さん(42)は17年9月に同事務所との契約を終了。SMAPの元マネジャーが立ち上げた事務所に移籍した。その前後から3人が出演する民放番組の打ち切りが相次いでいた。
裏にジャニーズ事務所の圧力があることは、誰でも感じ、テレビ局関係者なら誰でも知っていたことだろう。
ドン死して初めてタブーが崩れるというあまりに日本的な決着
そして何故かドンであるジャニー喜多川氏が亡くなってから、公取の対応が表沙汰になり、やっとテレビが報じた。
実力者が死亡しやっとタブーに踏み込む。あまりに日本的な決着の仕方と思わざるを得ない。
十二分に取り締まる法律があるんだから、今後も公取はキチッと目を光らせるべきだと、改めて思った。

なぜジャニーズタブーが生まれたかは至極簡単、誰でも知っている
ジャニーズ事務所のようにテレビの番組づくりには外せない、超人気グループをたくさん抱えている事務所の機嫌を万が一損ね、タレントの出演を見合わせられたら、番組ができないからだ。
こんな具合でジャニーズ事務所や吉本興業、AKB48関連は、なかなかヤミの部分がニュースになることは少なかった。
とりわけジャニーズ事務所関連のスキャンダルが外に出ることは、皆無に近かったのではないか。
先日、事務所をつくったジャニー喜多川さんが亡くなったが、これまで噂にのぼったタレントへの性的虐待などヤミの部分は全て隠され、テレビのワイドショー、特集は美談で埋め尽くされた。
確かにジャニー氏の芸能史に残した功績は偉大なものがあるが、不快な違和感を感じた人も多かったはずだ。
そしてこの度、誰もが感じ、知っていながら見て見ぬふりをしたテレビ局への不当な圧力がやっと、表面化した。
ジャニーズ事務所はホームページで
「テレビ局に圧力などをかけた事実はなく、独禁法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものではない。とはいえ、このような調査を受けたことは重く受け止め、今後は誤解を受けないように留意したい」
とするコメントを公表した。
芸能事務所がタレントの自由な活動を妨害すること、それを忖度するテレビ局は今こそ、腐った体質を今こそ改善すべきだ。
もりもと なおき