全国大会出場の目標もなすすべなく夢と消え
卒業式や入学式は在校生に送られることもなく、マスクをして友だちと距離をとり、校歌や仰げば尊しも歌わない式だった。
一生懸命練習し、自分の体力や精神力の限界まで挑戦したはずなのに。全国大会はおろか地区予選さえなく、インターハイも、そして甲子園大会は春に続き夏も幻に終わったことが、きょう正式にきまった。


センバツ大会が中止になった時、出場予定だった球児らは、『悔しいけど夏、必ず行きます』と、涙ぐみながらテレビニュースで話していた顔が忘れられない。
学習は遅れに遅れ、全国模試もなく
受験に青春をかけ難関大学を目指す受験生だって、公立は授業が遅れに遅れ、力試しの全国模試さえ中止が相次ぐ。不安しかないだろう。
そして大学生たちも多くがどん底の生活の中、学生生活継続への不安を抱えている。新入生はいまだ大学へ行くこともできず、新しい友人の顔さえ知らないのだ。
新型コロナウイルスは青春にもこれだけの大きな暗い影を落としている。青春の思い出としてはあまりにもむごいことが多すぎる。
彼らの夢の実現に少しでもできることはないのか?
確かにかわいそうだ。しかしかわいそうでは何も解決しない。大人たちの生活だって大変だが、ひとつでも知恵を出し合って解決していくべきだ。
甲子園を目指す球児に限らず、あらゆるスポーツに真摯に取り組んできた中高生は今、悲嘆にくれている。力と技を競い合うためにみんな精進してきたんだ。何とか都道府県大会だけでもできないものかと思う。
無観客なら実現できる。しかしただでさえ授業が遅れ、そんな時間はまずムリとの声も教育委員会から聞こえる。
教科と部活、どちらが大切かとの議論はよそう。彼らのために少し目をつぶれないんだろうか。
コロナ第二波予想し、文科省と大学は入試準備怠りなく
大学受験はAOや指定校など推薦入試自体がかなりずれ込みそうだ。しかし先行きへの不安からかなり推薦志向が増えることも予想されている。
そして勉強の遅れもさることながら、共通試験の日程、各私立大学、国公立大学入試の日程なども受験生の不安のタネだ。
ましてや秋から冬にかけ新型コロナウイルスの第二波が確実にくるといわれている。
入試についてはどんなことがあっても行うという前提で、文科省や各大学が本番対策を今から示し、受験生に過度な心配をさせないことが、大切だ。例えば三密対策なら、試験会場も何倍ものスペースが必要になってくる。

東大入試中止の余波は治まるまで3年を要した
私たちのいくつか上の世代では、学生運動で大学が破壊されたことなどから、1969年の東京大学と、東京教育大学(現筑波大学)の入試が中止になった。東大など2校だけの中止だったが、他大学に及ぼしたその余波たるや凄まじく、平穏に戻るのに3年ほどかかったと言われた。

青春のダメージが少しでも緩和できるよう、スポーツと受験、学校教育に大人たちは全力を挙げるべき。この時点での『9月入学』などは、若者たちに余分な不安を与える寝言に過ぎない。
もりもと なおき