紙媒体としての新聞は完全に右肩下がりで、近い将来、成り立たなくなるのは確実だ。日本の全国紙、地方紙はもちろん、外国の新聞も例外ではない。
こんな中、アメリカのニューヨークタイムズが新聞の収益を電子版が追い越したとのニュースが伝えられた。

紙媒体凌ぎ完全に電子版に移行した米国の高級紙
当然だろう。今後NYT紙はさらに収益の差が開き、完全に電子版に移行するのではないだろうか。
日本の新聞も遅まきながら電子版の"販売拡張"に取り組んでいるが相当、苦戦しているのが現状だ。
全国紙はもちろんだが、地方紙などは今のところ営業的にはかすりもしない。紙媒体の衰退が急激に進む中、手の打ちようがないのが現実だろう。
ニューヨークタイムズだからデジタル化が成功した
アメリカのニューヨークタイムズによると、2020年7〜9月の同社のデジタル電子版の購読収入は前年同期比34%増の1億5528万ドル。
これに対し紙媒体は4%減の1億4566万ドルで、デジタルの定期購読収入が四半期で初めて、紙媒体を上回ったという。
同社のデジタル版と紙媒体を合わせた購読者は700万人で、2025年には1000万人を目標にしている。
同社でも紙媒体の凋落は激しく、1995年に150万部あったのが、現在は60万部程度にまで落ち込んでいる。なんと600数十万が電子版なのだ。
2011年にスタートしたばかりの同社のデジタル化だが、電子版読者の増え方は、凄まじいスピードだ。

世界の高級紙の潜在読者は地球規模だが、日本は?
ニューヨークタイムズのほかウォールストリートジャーナル、ワシントンポストなどアメリカはもちろんイギリス、フランスの高級紙ではこうした紙面のデジタル化が進んでいる。恐らく今後、電子版の読者はもの凄い勢いで増え続けるだろう。
しかしこれを日本に置き換えることは無理がある。ニューヨークタイムズやワシントンポストは世界的な知名度を誇る新聞だ。
いわば読者になり得る対象は世界中にいるからだ。スマホで簡単に購読可能となれば当然、読みたい人は世界にいる。
購読者は国内だけという日本の大新聞の暗い先行き
これに対し日本の大新聞など所詮、内弁慶。国内しかパイはないから限界が。さらに日本独自の宅配制度に読者が慣れてしまっているから、電子版への移行が難しい。
さらに一定の高齢者への電子版の勧誘は諦めざるを得ないから、人口減以上に電子版化で読者対象は減る宿命だ。
地方紙などはさらに悲惨だ。共同通信配信との兼ね合いから、今のところ電子版は地ダネだけ。
つまらないローカルニュースにカネを払ってまで購読する人がいるかどうか。まずいないと考える。
ニューヨークタイムズやワシントンポストは世界の新聞になる中で、日本の大新聞は地球規模ではローカル紙に過ぎない。果たして生き残るのはどこだろう。
もりもとなおき