記者が権力を担うことにネットでは疑問の声もあるが…
共同通信社の現役論説委員(副委員長)の柿崎明ニさん(59)が、何と菅首相の首相補佐官に就任することが、様々な波紋を呼んでいる。
ネットでも色んな考え方を拝見するが、多くは『権力の監視をしていたはずのジャーナリストが、権力そのものになるのはいかがなものか』との、批判の声だ。
要するにミイラとりがミイラに…みたいなことだろう。
聞けば菅首相とは取材を通じてはもちろん、互いに故郷が秋田県ということで長い付き合いだったらしい。そんな関係で、今回の人事は菅首相自らがオファーし、柿崎氏がそれに応えたようだ。

テレビでは安倍政権を厳しく批判していた柿崎氏
柿崎氏といえばテレビの情報番組にもコメンテーターとして多数、出演。モリカケ桜など、安倍政権のアキレス腱にも、厳しく踏み込んだ発言をしていた。
安倍広報マンと揶揄される田崎氏とは、番組内でも意見が対立することも多かった。
菅さんといえば官房長官として、7年半も安倍政権を支えてきた。当然、柿崎氏のスタンスも良く知っていただろう。だからこの起用については驚く人が多かったのだ。
柿崎氏といえば毎日新聞から共同通信社へ転身した後も、一貫して政治部畑を歩んできた。
ここ数年は、論説委員兼編集委員として、政治記事に健筆を奮ってきた。論説と編集委員を兼ねるということは、相当に"書ける記者"であることが推察される。
"書ける記者"とは、文章が上手いだけじゃなく、取材力があり真実に迫ることのできる記者に使われる。
根底はジャーナリストの柿崎首相補佐官の良心に期待したい
この華麗なる転身に批判は確かに多いが、私は密かに期待を寄せている。彼とはつい最近も個人的に話したことはあるが、飄々とした風貌、話し方の中に、やはり根底にジャーナリストとしての良心を感じたからだ。
首相補佐官の仕事は総理の名代として省庁に睨みを効かし、政策を実現することに尽きるだろう。彼は政策の立案と検証を担うようだ。
記者を5〜6年して政治に転身したなどというのではない。彼は記者歴36年。からだの隅々までジャーナリストなのだ。
彼を首相補佐官に任命した菅首相の本意までは分からない。しかし恐らくや内部からの批判も覚悟で、柿崎氏を官邸に招き入れたことには敬意を払いたい。
そして柿崎氏にはこれまで通り国民目線で、職務に当たることを期待している。
もりもとなおき