後悔しない人生のため、目指すは医学の道
無限の可能性を秘めた若者は見ていて眩しいくらいだ。2019ラグビーワールドカップ日本代表の連中はみんなそうだったか、とりわけこのWTB福岡堅樹選手(27)は特にそう思わせた。
あの俊足とベスト8までの4トライはどれだけわれわれを興奮させ、感動させたことか。
その福岡選手が7人制ラグビーオリンピック代表を断念し、かねてよりの夢だった医師になるために医学部を目指すという。カッコいいなあ。思わず嫉妬するくらいだ。
『後悔しない人生を歩みたい』というのが率直な理由のようだ。

本当は7人制ラグビーで東京五輪で活躍するはずだった
本当はことし予定されていた東京オリンピック7人制ラグビーチームの一員としてオリンピックに出場し、それを花道に引退、医学部進学というのが、彼の人生設計のはずだった。
しかしオリンピックが延期されたことで年齢的なものを考えたら、タイムリミットだったのだろう。
新型コロナウイルス感染が世界的に拡大を続ける中、来年のオリンピック開催も、極めて不透明感が漂うだけに、最善の判断だったと、思われる。
元々、絵に描いたような文武両道の秀才だ
元々、絵に描いたような文武両道の秀才だ。超進学校の福岡高校ラグビー部を率いて花園にも出場を果たした。一浪後、医学部受験に失敗したが、一般受験で難関の筑波大学情報学群に合格している。
そして筑波大でも活躍し、卒業後はトップリーグのパナソニックへ。16年リオデジャネイロ五輪にも出場した。
W杯では4試合に出場し、強豪のアイルランド戦での逆転トライを含む計4トライを挙げたのは、われわれの記憶に鮮明に残っている。
ワールドカップという夢を実現し、もう一度、医師になりたいとの夢が沸き起こってきたのだろう。フライデーされた彼女の存在もあるのかもしれない。
パナソニックとの契約は残っているので、来年まではトップリーグに所属する。
五輪でのメダルを期待したがぜひ医学部合格を
ラグビーファンは来年の東京五輪でぜひメダルをとの期待は大きかったが、そのオリンピックさえもどうなるか全く予測がつかない。
外国のあらゆるスポーツ界では、トップアスリートからのこうした転身は全く珍しくない。日本でも女子柔道で2018年世界選手権女子78キロ超級金メダルの朝比奈沙羅が、独協大学医学部医学科へ進学し、医師の道を進んでいる。
甲子園出場を果たし、東大に合格するヤツ(結構、多い)とか、ラグビーワールドカップで活躍し、今度は医者とか。神様に選ばれた男なんだろうなと、思う。
とにかく彼の挑戦と医学部合格を祈りたい。欲しい大学はたくさんあるんだろうな。
もりもとなおき