失態というよりプライバシー侵害の大きな不祥事だ
リクルートが運営するリクナビは、就活に臨む大学生には最大の情報源として必須のサイトだ。これに登録しなければ現実にスムーズに就活ができるかは疑問。

理系で教授推薦で大手メーカーなどにいく学生以外は、大いに頼りにしている。
そのリクナビが学生たちに対しとんでもない裏切り行為をしでかしていた。
これを重くみた厚生労働省は、近く職業安定法に基づき行政指導を行うというが、果たし指導レベルの失態か?
企業倫理もとるというより、ほとんど犯罪行為に近い不祥事とみる向きも多い。リクナビの在り方が改めて問われるんじゃないだろうか。

学生個人の内定辞退率を、なんと企業に売っていた
これまでニュースで明らかになっているのは、リクナビが会員の行動履歴に基づく「内定辞退率」予測を、採用側の企業に販売していたということだ。
簡単にいうとA君が5社企業訪問したとする。当然、職種や企業の規模により本命はあり、リクナビは個人データからある程度、A君の志向が分かっている。
だから全て内定した場合はどこへいくか、3社内定ならどこをA君は選択するかをリクナビは確率的に弾き出せるというわけだ。
企業人事担当者の最大の悩みは、せっかくの内定者に辞退されること。このデータがあればある程度は見通しが立つと、利用を考えたのは当然だろう。
リクナビは100%学生のためのサイトに生まれ変わるべきだ
企業向けのサービス名は「リクナビDMPフォロー」と名付けられ、「内定辞退率」はリクナビサイト上での行動履歴の解析結果に応じて5段階評価され、これまですでに38社の企業に提供されていた。学生の数は約8000人。もちろん同意はない。
しかしいくらデータで弾き出しても、学生の心の内は分からない。メガバンクと地銀との内定を得ても地銀を選択する学生もいる。
商社希望で内定を得てもメーカーの面接で、役員らの話しに心動かされることだってあるはずだ。
企業が学生を選択する以上、学生にも企業を選ぶ権利がある。企業もつまらないデータに頼らず、人間力で学生の心を動かすべきだ。
リクナビへの学生らの不信感は相当、募っている。今のような一時休止でしのげるのか?
信頼を取り戻すのは、リクナビが企業寄りでなく、100%学生のためのサイトに生まれ変わることだろう。
もりもと なおき