予算委員会は国会審議の華のはず
衆参とも予算委員会は国会審議の華だ。攻める野党も守る与党も、そして個性的な予算委員長らが、数々の政治ドラマを演じてきた。
学生時代、某社政治部の国会記者会館でアルバイトをしていた。当時は田中内閣〜三木内閣で、ロッキード事件がまさに日本の東京地検特捜部に舞台が移る頃だった。
当然、衆参とも予算委員会は荒れに荒れ、記者席で傍聴するのが実に楽しみだった。
■当時は爆弾質問のスターがいた
当時の予算委員会には野党にはスターがいた。この人が質問に立てば間違いなく翌日の朝刊は一面トップみたいな。
その筆頭が旧社会党の楢崎弥之助という代議士。今の小物議員の揚げ足取りだけの質問じゃなく、『いったいどこで調べたの⁈』という爆弾質問ばかり。メディアだけじゃなく警察や検察も必ず注目していた。
■思い出す荒舩清十郎委員長の采配
そしてロッキード事件が中心となったこの時の衆院予算委員長は荒舩清十郎という、運輸大臣などを歴任した埼玉選出の"大物"だった。
故 荒舩清十郎衆院予算委員長
とにかく暴言、失言は日常茶飯事で、まあ、今の桜田義孝前に五輪大臣の100倍は凄かったが、時代だったんだろう。大半が許されてしまったが、流石に最後は暴言が過ぎ、衆院副議長辞任に追い込まれた。
しかし驚くのは副議長辞任後の1976年、衆議院予算委員長としてロッキード事件の証人喚問を取り仕切った。
全日空関係者や田中首相の刎頚の友といわれた小佐野賢治氏…この時の委員長としての味のあるやり取りは、私も毎回、楽しみだった。
その後2つの内閣でまた大臣だから、実力と人望があったんだろう。
なぜ開かない、なぜ逃げる?安倍政権
さて現在、安倍政権は80日も予算委員会を開かない、異例の事態となっている。
安倍さんがモリカケの追及ですっかり懲りたのか、あるいは参議院選挙前。野党にいろいろ突かれたくないとの思惑も見え隠れする。
最近開かれたのはもう80日も前
しかし国民としては明らかにしてもらいたい問題は山ほどある。例えばトランプ大統領との会談の中身は、トランプ氏のツイッターから漏れ伝わることだけだ。
安倍サイドのニュースはゴルフ、炉端焼き、相撲ばかり…
どんな密約があったのか。野党の諸君は聞くべきだし、それが国益を損ねるのならきちんと追及しなければならない。
ロッキード事件を抱えても田中政権は堂々、予算委員会を開き、今の野党の何十倍も骨のある野党の追及に耐えた。
今の政権、政治家としての覚悟が無さ過ぎる。
もりもと なおき