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三島由紀夫VS東大全共闘。まだ高校生だった僕はただ羨ましかった

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東大全共闘千人との討論会、そして自決へ

三島由紀夫先生が陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決したニュースを見た時、その前年、東大へ単身乗り込んだ三島先生が、1000人もの東大全共闘と激論を交わしたニュースを直ぐに思い出した。

1969年5月13日ー。
当然、激しい言葉の応酬は知と知の激突だった。互いに手は出なかったが、暴力以上のダメージがあるんじゃないかと、感じた。
私はまだ高校生。知的に幼かった自分はツバを飲んでやり取りをまとめた本を貪り読んだのを覚えている。

半世紀後の感動のドキュメンタリー映画を観た

そしてあれから半世紀も経った。当時の討論会の様子はYouTubeで見たことはあったが、TBSに眠っていたフィルムが掘り起こされ編集された。そしてこの度、映画『三島由紀夫VS東大全共闘/50年目の真実』(豊島圭介監督)として蘇ったのは感動だった。

三島由紀夫はとっくにいない。活動家たちも前の方にいた学生は大半が東大を中退した。その後の人生は知らない。様々な生き方をしたんだろうが、自死した人もいた。そしてそれなりにみんなあの時代を引きずって生きてきた人生だったのは言うまでもない。

右だろうが左だろうが暴力を否定しなかった三島

『僕は右だろうが左だろうが"暴力"に反対したことは一度もない』と、初めに言った三島に、多くの学生たちがいきなりシンパシーを感じたのは間違いない。

恐らく監禁されるだろうと、三島の私兵、楯の会のメンバーは1人で行かせることに反対した。彼ら全共闘から見たら三島は保守反動の何者でもなかったからだ。

しかし三島は1人で敵陣に乗り込むことを決めた。集団暴行を受けたら自決する覚悟で、匕首を忍ばせていたのが、後に分かった。

ことばは言霊として残ると言った

やはり文学者だ。彼らとの対話のことばを大切にした。三島や全共闘の諸君のことばはその会場に言霊として残るんだと。
だから学生たちが興奮する場面があっても三島のことばは乱れることなく、声荒立てることなく魂が生きていた。

そして三島は学生たちに『君たちが"天皇"と言ったら、僕はいつでも連帯する』と。

2時間半。たばこを吸いながら時には学生同士の激しい罵り合いをニコニコ笑いながら眺める三島に、当時の学生では永久に敵わない覚悟のようなものを感じた。

そして1年後の自決もこの場から時空を超えて繋がっていたものであることは、容易に理解できた。

ことばが力を持っていた時代だった

映画では前面で赤ちゃんを肩車して出ている活動家、芥正彦さんがいた。全共闘一の論客と言われた男だ。
現在は劇作家などで活躍中だが、あの討論会について『ことばが力を持っている時代だった』と、振り返った。
そして『これでやっと三島を追悼できた』と。

恐らく当時の活動家たちにとっても1年半後の三島自決は、昇華し切れない状態で延々とくすぶり続けていたんだろう。

左が若き日の芥さん

支配の象徴である東大解体するため全共闘を結成

東大全共闘は元は医学部の講座制(白い巨塔の原因)に反対する若い医局員らの闘いがスタートだった。それが全学に広がり、支配階級の象徴である東大解体を叫び全学共闘会議を結成。

最後はこの三島との討論会のあった年の1月、安田講堂に立て籠り6000人もの機動隊と壮絶な闘いを繰り広げた。

62才で亡くなった病院長のロッカーにあったヘルメット

後に長野県の諏訪中央病院長として地域医療に多大な貢献をし、参院議員となった故今井澄さんが安田講堂防衛隊長として陥落寸前に行った『最後の時計台放送』はあまりに有名だ。

今井さんは62才の時、病に倒れ亡くなったが、死後、病院のロッカーから古びた東大全共闘のヘルメットが出てきた。
医学部からも多くの医局員、学生が大学を追われたが、やはりヘルメットはいつまでも今井さんにとっても熱い時代の証だったんだろう。

東大全共闘のヘルメット(今井さんのものではない)


安田講堂攻防戦の時の全共闘議長は山本義隆さん。将来はノーベル物理学賞確実といわれていた天才物理学徒だったが、彼も大学を去った。

圧倒的な熱量を若い世代に伝えたいが…

コロナウイルスの感染拡大で、特別措置法に基づく緊急事態宣言が政府によって出されたら映画館も休館になるかもしれないと思い、慌てて行ってきた。映画が謳っている通り凄い熱量だったんだ、あの頃は。

全共闘世代はやはり永遠の憧れだ。でももうこの世代も僕らにも時代を変革するパワーは全く残ってはいない。それはしょうがないことだと思う。
そして極左と極右はぐるりと回ったら隣同士。ともに国家を愛する気持ちは変わらない。だからこの圧倒的な熱量を若い世代に渡したいとは思う。

もりもとなおき

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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