何度やっても同数。抽選で決まっても辞退
沖縄県与那国町の町議会の議長がずっと決まらないとか。これまでに88回も選挙をしたけど、何度しても5対5。規則に沿って抽選をしても"当選"した町議が延々と辞退を続けている。要するに『議長になりたくない』と。与党は野党に野党は与党に票を入れていた訳だ。
何でも与野党が5人の同数。議長を取ると採決で5対4となり、負けるからだという。
こんな小さな町議会、毎回、議決で割れることもないとは思うが、たまには考え方が違ってくる議決があるんだろう。町長選挙後のしこりとか対立が根深い政争の町なのか。
徳島のある町で誕生した2人議長
私も支局での若い記者時代、これとは全く正反対、ある町で生まれた"2人議長"にびっくりしたことがある。
当時の徳島県の政治は、どの町でも三木武夫派対後藤田正晴派が対立。政治に活力はあったが議会はどことも割れ、揉めることも多かった。
この町もご多分に漏れず。 20人の定員がたまたま与野党10対10に。元々、政争は激しく、その時は町長が三木派だったから後藤田派が野党だった。
改選後の議長選。順番では期数、年齢から与党議員がなるはずだったが、本会議休憩中、野党の10人が控室からそっと議場に入室。
再開を知らせるベルを鳴らした後、速攻で議場閉鎖し施錠した。
そして議長席に座った最年長臨時議長がいきなり本会議の開会を宣言。与党議員を締め出して議長選挙を実施するという奇策に出た。
結果、与党抜きの10票を獲得した野党議員が議長に"当選"した。
当然、与党はこれを認めず、与党も同じやり方で議長選挙を。結果、同じく10票を獲得した議長がもうひとり誕生。前代未聞の『2人議長』となった。
しかしこれではもちろん議会は開けない。確か次の6月定例会は初日から流会になった記憶が。旧自治省、県、地元県議らが仲裁に入り、『とりあえず先に決まった野党の議員が議長。実りの季節に交代する』との斡旋案を。両者受けいれた。
実りの季節に交代約束も、居座り
実はこの後も"実りの季節"を巡って、さらに揉めることに。当然、世話人らは収穫の秋のつもりだったが野党議員らは『町から政争が無くなる日のことや!』と、とんでもない解釈を。そのまま居座り、交代は秋を過ぎ冬になっていた。
私もこの間、毎夜のように両者の作戦会議に呼ばれ意見を求められるもんだから、地方自治法を猛勉強。彼らのおかげで一端の専門家みたいになりました。
もりもと なおき