事件の節目に必ず記事になる世田谷一家4人殺害事件
迷宮入りしている事件をメディアは必ず節目節目に取り上げる。事件を風化させないためにも必要だし、恐らく捜査本部を抱えている警察も報道機関に協力を求め、何らかのネタを提供しているのだろう。
毎年、この時期に必ず取り上げられるのが東京都世田谷区の宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が自宅で殺害された『世田谷一家4人殺害事件』だ。その残虐さ猟奇性から何としても犯人を検挙して欲しい事件のひとつでもある。

今頃、そんな大切な"新事実"が判明なのか?
いつも思うのは、事件の節目に取り上げるべき事件であるのは理解しているが、記事の書き方、報道の仕方があまりにワンパターンで、『おいおい、そんな事実が10年も20年もして分かったのかよ』みたいな記事が毎年、あまりに多いのだ。
そして警察はそんな大切な事実や手がかり、足掛かりを今頃、見つけたのか?初動捜査で分からなかったのか?と、捜査機関と報道機関の裏事情を知らない普通の人は考えるんじゃないだろうか。
世田谷事件も毎年、この時期、初めてニュースになる"新たな事実'が出てくる。
もちろんこれまでの捜査の段階で、とっくにわかっていることばかりだろう。手がかりのひとつとして潰しているはずだ。
記事の書き方が毎年あまりにワンパターンでいただけない
恐らくマスコミに記事を書かせるために警視庁としてはいろいろネタを考えているのだろうが、ある新聞の今年のものは少しいただけなかった。
要するに家族4人のうち母娘が殺害されたロフト上部の壁に、犯人が凶器の柳刃包丁を振りかざした際にできた傷が残っていたーというものだ。
それについて捜査関係者が『幼い女児と母親を執拗に襲った犯人の猟奇性が伺える』と、ある新聞にはあった。
そしてこの事実を捜査関係者への取材で分かった…などとしているが、20年も経ってこんな話しを今頃、聞き及んだかのような記事がいただけないのだ。
こんな事実はこの記者の先輩が事件当時、聞いているだろう。
慰留品のおさらいの方が遥かにマシ
こんな話しを書くのなら、もう一度、犯人の慰留品などをおさらいした方が遥かにマシだ。
少なくともこのあまりに多い慰留品や現場に残った犯人の痕跡に、警視庁が楽観的となり、結局、捜査が行き詰まったのだから。
この事件も大きな手がかりなく、犯人を検挙できないまま、この30日で20年の時が虚しく過ぎた。
犯人はどこでどうしているのか。捕まらない限り、殺された家族は浮かばれない。
もりもとなおき