国葬でもない自民党合同葬儀で、大学に弔意指示する不思議
国葬でもない元総理大臣中曽根康弘さんの内閣・自民党合同葬儀に約1億円の税金を投入することに、ネットでは批判の声が高かった。
しかしそれだけではなく、今度は政府が全国の国立大学などに葬儀に合わせて弔旗の掲揚や黙とうで弔意の表明を求めているということが明らかになった。
普通に考えても何故?の疑問しか沸かないが、多くの大学では菅政権の予想もしなかったとんでもない要求に呆れている。
反知性主義とささやかれている菅政権だが、日本学術会議の任命拒否といい、学者を力で支配しようとする意図でもあるんだろうか。たぶん、あるんだろう。
何故か官房長官が都道府県教委に同様の通知を
そして大学だけじゃなく全国の都道府県教委にも、官房長官加藤勝信名で、国立大学へのものと同様の通知が送られた。とりあえずは『参考に』と、但し書きをしてあるが、戸惑いの声も聞こえている。
これに対し大阪府教委は、特定政党への支持や政治的な活動を禁じている教育基本法14条に抵触する恐れがあると判断。各学校には送付しないことを決めた。
極めて賢明というか当たり前の対応だろう。
弔意は自分の心の中、上から指示されるものではない
中曽根さんは確かに戦後政治家の中では特筆すべき名宰相のひとりであることは、私は否定しない。
そして自民党が党のカネで勝手に葬儀をやるのであれば、特段に問題にもならない。弔意は上から指示されるものでもなく、自分が心の中でするものだろう。
しかしながら極めて特定政党の色濃い葬儀に、国立大学に当日の弔意を支持するのは、全く多くの理解を得ることはできないだろう。
中曽根さんは国家の英雄でもなければ、建国の父でもないのだ。党関係者とファンが弔意を示せば良い。
息子と孫が参院議員、衆院議員にいるが、何も党に対し言わないのも不思議だ。
とにかく国立大学や都道府県教委は、政府からの通達をスルーすることを期待したい。
少し気になるのが、残念ながら政府の大学へのこうした政治的ともいえる介入に、学生諸君から全く反発の声が上がってこないのにも驚く。
もりもとなおき