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事件取材は瞬発力。締め切り時間との闘いが記者の醍醐味

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締め切りがある新聞は瞬発力が勝負


新聞記者に一番大切なことは瞬発力だ。いわば仕事での運動神経みたいなものだろうか。実は私はこれだけは自信があった。だから事件担当をなかなか外してくれなかったんだと思う。

新聞には締め切り時間がある。これを守らないと、紙面を組む〜印刷〜配達までに大幅な時間のズレが生じ、多くの人に迷惑をかける。配達時刻に大幅な遅れが出るということは読者の信頼を損なう。


ギリギリに突っ込むのが記者の醍醐味


夕刊の締め切りが午後12時50分、朝刊が午前12時50分くらいだっただろうか(全国紙だと何段階も締め切り時刻はある)締め切り10分くらい前に起こった事件だと、能力のないデスクは『もう間に合わんから、朝刊用で、あるいは夕刊用でじっくりいこう』などと消極的で間抜けなことを平気で電話で言うヤツもいた。

しかし私は締め切り直前、あるいは締め切りを若干過ぎた時間に起こった事件を紙面に放り込むのが記者の醍醐味と思っていたから、譲らなかった。少しでも新しいニュースを読者に届けるのが、地元紙の責務だとも思っていたし。

現場から、あるいは現場に行く途中、警察幹部に電話をし、分かっているだけの話を手短かに。そのメモを見ながら社会部の手の空いてるヤツに電話で送稿する。僅か20行の記事でもデカい見出しで脅せば、大事件だ!と、充分、読者の皆さんには伝わったと思う。短時間にニュースの大筋を処理する。これが記者の瞬発力であり運動神経。

大事件を突っ込むため、輪転機を止めたことも


センスの悪いデスクに辟易


ただ、大変だったのは今と違ってケータイなどはない。公衆を探したり、全然、知らないお宅に飛び込んで電話を借りたりもした。スマホがあったら写真だって送れたのにと、今更ながら思う。

極めてセンスが悪いデスクもいた。締め切りギリギリの一報。全国トップニュースになる予感がした私が"これは大ニュースになります。朝刊に僅かでも突っ込みましょう"というと『いや、明日の夕刊で詳しくいこう』と却下。案の定、朝から全国のテレビではどデカいニュースに。

ひと言『すまん』と言ってくれれば私は気にしないのに、わざわざ電話してきて『朝刊に一報を入れなかった責任は俺とオマエと半々やからな!』と。私はまだ30代半ば。これからずっとこんなヤツが上司、先輩でいると考えたら、心から嫌になった(のちに政治に転身する一番のきっかけに)

もりもと なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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