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人質立て篭もり事件で特ダネ写真。ブン屋とデカの信頼感

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人質立て篭もり事件。刑事らと突っ込んで、凄い写真を


タンカーの爆発事故を取りあげ、写真の上手い記者だったと先日も自慢しましたが、記憶に残るベストショットはまだまだあります。

30代になったばかりの頃。これまた公休日。久々にゆっくり寝ていたら、朝8時半頃に電話が。

出ると仲良くしていた刑事さん。かなりコーフン気味に『もーさん(警察での私の愛称)○○署管内の○○小学校で包丁持ったヤツが女の子を人質に給食室に立て篭った。早う来い!』。ガチャン!

急がんことか。パジャマのままジャンパー羽織り、スニーカー引っ掛けてクルマまで僅か45秒。20分で現場に着いたら、物凄い緊迫感。

男が給食室の配膳用エレベーターの中で小さな女の子を抱え、包丁を突きつけてるじゃないか!

刑事らが説得するも立て篭った意味さえ分からない。女の子が心配だが、気丈に泣きもせず、歯を食いしばって耐えている。

『どないするんや?』と僕。

『隙みて一挙に突っ込む。こんな恐怖が続く状態では女の子が持たん』と捜査員。

『行く時は俺も行く。ええな?』と僕。『おう!』と捜査員。

その頃の私


警察官の勇気に感服。包丁を素手でつかむ


こんなやり取りの直ぐ直後だった。"行くぞ!"の掛け声を合図に7〜8人が雪崩れ込む。

1人は刺される危険も省みず包丁に背中を向け、直ぐに全身で女の子を抱え込む。そして男の包丁は、ひとりが血だらけになりながらも刃の部分を素手でつかみ、奪い取った。

この間、10数秒。わずか1.5mの至近距離から撮った私の写真が夕刊1面をいっぱいに飾ったのは言うまでもない。

包丁を握って奪い取ったのは、宿直明けで現場に急行していた交通課の係長。こんな強行事件現場は久々だろうが、凄い男だなと、感心した。

この写真はデッカく引き伸ばしプレゼントしたから、彼の家の家宝になっていると思う。

私も記者生活で、パジャマ姿で取材したのは後にも先にも初めてだった。


事件と警察官の活躍は大きな記事にした。だから信頼が生まれた


なぜか私は警察官らに厚い信頼をいただいていた。何故かというと、自分の仕事の成果でもあるが、彼らの頑張りや努力を、紙面を通じて多くの人に知ってもらいたかった。

だから警察が摘発した事件は少しでも社会面で大きな記事にできるよう、綿密に取材した。この私の手法、考え方を警察官みんなが理解してくれたから、情報はどんどん集まってきた訳だ。

ある署長は『もーさんのおかげでみんなやる気が出て、下位だった検挙率がついに県下警察署でトップになりました』と、言ってくれたり。

ある刑事は『新聞にデカく載るんで、家内が"お父さんって凄いんやな"って言ってくれる。もーさんのおかげや』と。

これも嬉しい話しでした。

警察官が頑張れば社会は安全になる。だから記事で頑張る手助けを。これが事件記者としての私の社会貢献だったと信じています。

もりもと なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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