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他人の家庭は分からない。ましてや心の内も。熊沢被告裁判に思う

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どんなに恵まれて見えても、人は苦悩を抱えている

側から見たらその人物がどんなに恵まれているように見えても、家庭の中や、ましてや心の内まで分からない。

しかし何かの拍子でその内情が発覚することがあり、人は初めてその人の苦悩を知ることができる。

それが例えば一家無理心中であったり、子殺しであったり。記者時代からたくさんこうした現場を見た。

そしてこの事件、裁判ほど家族の苦悩、親の苦悩、それを隠してエリート官僚として仕事を続けたであろう父親の凄まじい忍耐力に、切なくも思いを馳せたことはなかった。

超エリート官僚、熊沢被告が苦しんだ家庭の内情

ことし6月だった。東京・練馬区の自宅で、農林水産省の元事務次官・熊沢英昭被告(76)が、長男の英一郎さん(44)の首などを包丁で刺し殺害した事件は、世の中を震撼させ、社会に様々な問題を投げかけた。

熊沢被告と息子英一郎

そして殺人罪で起訴された熊沢被告の初公判が東京地裁であったが、被告人質問などでこの家族の地獄の苦しみとも言える事実が浮かび上がってきた。

夫婦で実の息子に殺されるかもしれない連日の恐怖とやるせなさ。

目の前で妻に激しい暴力を繰り返す息子。加減のない息子からの暴力により、被告本人も間違いなくこのままでは息子に殺されるだろうと、考える日々だったようだ。

娘も自殺していたという衝撃の事実

そして裁判では妻の口から、衝撃的な証言が飛び出した。
娘さんがこの息子のことで何度も縁談が壊れ、自殺した過去もこの家族にはあったということだ。

あまりの多忙さゆえ、幼い頃から息子となかなか向き合うことができなかった被告。
日増しに激しくなる息子の暴力を恨むより、自身の子育てについてどれだけ自省し後悔したことか。少しでも息子のためにと、息子手作りのアニメを売るため、コミケにまで顔を出していた。

そして夫婦への暴力もさることながら、その暴力が外に向かうことも恐れたのではないだろうか。

多忙な仕事と苦悩の狭間でどれだけ苦しんだんだろうか?

家庭の苦悩をこれだけ抱え込みながら、農林水産省での仕事は休むことは許されなかっただろうに。

事務次官まで登りつめたんだから、仕事や人脈は完璧だったのかもしれない。そして父親のこのポストは息子の自慢のタネでもあった。SNSにまで投稿していたくらいだ。

父親76才。息子44才。いわゆる8050問題のパターンに当てはまる。

われわれが知らないだけで同じような苦悩を抱え込んでいる家族はまだまだ存在する。熊沢被告1人を断罪しても、解決はしない。

もりもと  なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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