企業だけは金満大国日本!なぜ社会に流れない?
会社の組合の役員をしてた時だからもう30年は経つ。
春闘などの賃上げをメインテーマとする団交で、別の役員が会社の内部留保を指摘し、『これだけ溜め込んでいるなら、人を増やしてくれ。もっと定期昇給を増やすべきだ』と、社長や総務局長らに要求していた。
私などは記者バカなんで、紙面改革や編集権の独立について議論したかったが、カネのことはほとんど興味がないダメ役員。
ないぶりゅうほ?はぁ?って感じだった。
書記長のK君に会社の貯金みたいなものと教えてもらい、理解した。
社長に個人的に聞いてみると『うちみたいな中小企業はある程度貯めて置かないと、いざという時、何にもできない。こんなの分配できるかよ』との話だった。
7年連続と、膨れ上がる内部留保は国家予算の4倍
さて田舎の中小企業の内部留保などささやかで可愛らしいものだ。
この話には聞くたびに複雑な思いになる。財務省が発表した2018年度の法人企業統計で企業の内部留保にあたる利益剰余金は463兆1308億円となり、前の年度に比べて16兆6000億円余り増加、7年連続で過去最高を更新した。
2018年度は企業の売上高が0.6%のマイナスとなって3年ぶりの減少に転じたが、経常利益は0.4%のプラスで9年連続の増益だった。
一方、足元の今年4月から6月期の経常利益は米中貿易摩擦の影響で、12.0%の減益となるなど、これまでの右肩上がりのペースに赤信号がともっている。
しかし460兆と言えば国家予算の軽く4年分以上。
20年以上、下がり続ける給与。なぜ働き手は貧しいのか?
これだけ企業の貯金は増えているのにここ20年以上、働き手の給与は上がらず、世界で最低のペース。
さらに非正規雇用は40%に達し、極めて厳しい待遇を余儀なくされている。

内部留保が史上最高と言っても、働き手に全く還元されず、意味があるんだろうか。
吐き出せばかなり景気は上向くのはだれでも分かるが、政治と財界、どちらが悪いのか。
さてこんな折、わが国の上場企業の手元現金は506兆4000億円と、ブルームバーグが伝えている。これは過去最高で、大半の国のGDBよりデカく過去最高とか。
安倍首相が企業の現金保有を減らすと公約し第2次政権を発足させた数カ月後の2013年3月に比べ、なんと3倍余りに膨らんでいる。
あるところにあっても、溜め込むだけではないのと同じだ。
もりもと なおき