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佐賀県警会見で思う地元がキャリア本部長を守る意味のはき違い

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佐賀県警と杉内由美子本部長が記者会見での対応を巡り、地元記者クラブとの関係がギクシャクしているようだ。どうも地元県警がキャリア官僚の本部長を傷つけまいと過剰に守っていることが、裏目に出ているような気がするんだが…

佐賀県警杉内由美子本部長

警視総監、道府県警の本部長はほぼエリート官僚

警視庁の警視総監、道府県警察本部の本部長は、ほぼ全員が警察庁から出向のキャリア警察官僚が務めている。
ほぼというのは稀に優秀な本庁のノンキャリアが来ることもあるからだ。
そして他省庁から人事交流で本部長として着任する官僚もいる。

人事交流では徳島にも経済産業省から2人が本部長として着任したが、やはり経産省も恥ずかしくない優秀な人材を出しているなと、感じた。

私も徳島で警察担当記者や県議を通じてたくさんの徳島県警察本部長とお付き合いいただいた。そしていつも関心したのは地元県警の警察官や職員が徹底して本部長を盛り立て、守っていたことだ。

在任中は徹底してキャリア本部長を守る地元県警幹部ら

地場の警察官から見て様々な評価はあるだろうが、地元に在任中は絶対に悪口は言わない、批判はしないということを徹底していた。

だからその本部長の本当の評価は、人事異動で県を離任してから、警察官らの本音を聞くことができた。

まれに離任後、口を揃えて辛口評価される評判の悪い本部長もいたが大半は優秀で、警察庁へ戻っても大出世する人が多いことでも徳島県警本部長は有名だった。

ちなみに最近では樋口建史警視総監栗生俊一警察庁長官、そして安倍政権で内閣情報官と国家安全保障局長、菅政権でも引き続き務める北村滋氏らが、徳島の本部長などを歴任した(樋口氏は警務部長)から、まさに大物揃いだ。

太宰府女性暴行死事件は、佐賀県警の大失態?

さて佐賀県警の話に戻るが、佐賀では今、福岡県太宰府市の女性暴行死事件で、県警が事件前に女性の家族から相談を受けながら事件化しなかったことが大きな問題になっている。

報道で知る限りだが、そのままなら佐賀県警の大失態であり、事実を検証し謝罪、関係職員の処分をするしかない。

ところが先日の本部長定例会見では、本部長は問題の総括としてペーパーを読み上げただけだ。
そして記者の本部長を指名した質問を他の幹部が遮り、刑事部長らが論点をずらすような答弁をしたようだ。また酷いのは冒頭を除き、撮影禁止としたことも、記者らを苛立たせた。

佐賀県警察本部

本部長のキャリアを傷つけまいと、地元幹部が庇い過ぎ

この暴行死問題は、どの報道を拝見しても佐賀県警に分が悪い。私が記者の目で見ても大失態というか、完全な職務怠慢だと考える。

佐賀県警がやるべきことは問題点の整理と検証しかないし、場合によっては厳しい処分も必要不可欠だ。

そしてこうした今回の問題については、会見の場できちんと県警本部長が答える義務がある。

杉内氏は東大農部卒で1993年警察庁入庁。これまで警察庁交通指導課理事官、愛媛県警警務部長、大阪府警初の女性部長として大阪府警生活安全部長など歴任したピカピカのキャリアだ。そして極めて優秀だから九州で初の女性本部長となったのだ。

もちろん周囲もそれを承知で、彼女の経歴に傷をつけまいと、必要以上に庇っているのが見てとれる。まさに贔屓の引き倒しになっている。

この本部長なら自身の言葉で、対応できるはずだ。

地元県警が本部長を盛り立てる、守るとは、きちんと仕事で成果を上げることなのだ。佐賀は何か勘違いしているのではないか。

もりもとなおき

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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