遥か遠くなった福祉国家への道
しかし恐ろしい国になってきた。国が70才以上の働く人にも厚生年金を支払わせるよう、具体的に検討に入ったという。現在でも上限70才までだが、さらに75才まで支払い義務を課すかもしれない。
すでに公的年金制度は受給開始や納付期間の年齢が、どんどん引き上げられている。そして将来、きちんと年金が受け取れるのか否か完全に不透明だ。
だから若い人だけでなく中年層にも受け取れない年金のために保険料を支払うことに疑問を感じ、国民年金を払わない人も増え、年金制度そのものが揺らいでいる。
"100年安心の年金"はどうなったのか
小泉政権が胸を張った"100年安心"の年金制度など、わずか10年もしないうちに完全に死語となった。
厚労省は今年、5年に1度の公的年金制度の検証作業を実施。6月をめどに厚生年金の加入期間を延長した場合の年金額の試算結果を公表する。
保険料の支払期間について「75歳まで」といった具体的な数値が盛り込まれるか否かが焦点になるという。
内閣府の調査では仕事をしている高齢者の約4割が『働けるうちはいつまでも働きたい』と答えている。
しかしこれは今の安い年金では生活できないからが本音だ。
働きたくて働いてるのではない人が大半だと思われる。
75才でもまだ払うのか!
国は一定時間以上働く高齢者にとっては、加入期間の延長によるメリットは大きくなるなどと解説しているが、本当にそうだろうか。
仮に保険料の支払い義務が75才などという事態になれば、今以上に生活が困窮する高齢者が続出するのは間違いない。
高校を卒業してから57年間、大学を出てからも50年余間。そしていずれは死ぬまで保険料を徴収し続けるのだろうか。
プールしたわれわれ国民の年金保険料で財テクするのも構わないが、何兆円も損失を出すのだけはやめてくれ!
もりもと なおき