にわかに信じられない元助役の政治力と原発利権の深い闇

私も記者と議員という仕事を通じ、いろんな利権屋の暗躍を見てきたが、失礼ながら福井県高浜町というこんな片田舎の役場の助役というか元助役が、これだけの利権に力を発揮できるのはにわかに信じ難い思いだ。
国会議員や首長ならともかく、一介の元助役だ。私も田舎の町でとかく噂のあった"助役"は見てきたが、ここまでスケールがデカい利権屋がいたとは…
それにしても巨大企業・関西電力の会長や社長と言えば、経団連の中西会長さんさえ"お友だち"と呼ぶ大きな存在だ。
それが福井県高浜町という田舎の元助役ごときにカネを渡され、『返却しようとしたら激昂された』というからお笑いだし、これもにわかに信じられない。
原子力ムラの大幹部たちが、ここまで陳腐な姿、晒すとは
関西電力の大幹部と言えば原子力ムラの大幹部。しかし世間に引っ張りだされカメラの砲列を浴びたらまるでシュン太郎、ここまで陳腐な人たちとは思わなかった。
その辺の中小企業のオヤジ以下の哀れな姿に、経済界の行く末も心配になってきた。


森山氏の顧問、相談役の会社、関電から3年で110億円受注
渦中の森山栄治氏(故人)が助役退任後、顧問や相談役を務めた2社の土建屋などは過去3年で、なんと関西電力から110億円もの受注を受けていた。

昔から賄賂は事業費の3%といわれたものだが、森山氏がぴったし3億円も業者からはねていたのも笑う。
そして関西電力幹部への贈り物は3.2億円だから、やはり3%か。
森山氏はこのほか、関電の子会社や原発警備を請け負う地元企業でも取締役を務めていた。電気料金を原資とした原発事業を取り巻くさまざまな企業に1人で深く関与していた構図が浮き彫りになった。
なぜ田舎町の助役森山氏がここまで力をつけたのだろう
森山氏はカネを渡した相手を、きちんとメモして自宅に残していたというから、ドキドキしている輩もいるのは間違いない。
しかしなぜ田舎町の助役ごときがこんなに利権の力を持ってしまったのか。
恐らく高浜原発立地計画段階まで遡る必要があるだろう。
高浜原発は1号機完成は1975年、最後の4号機稼働が1985年。この頃、森山は40代半ばから50代半ば。間違いなく原発誘致の担当部署などを経由、助役になったのだろう。
これまでも田舎の首長選挙でも話題になったが、いかに原発が国家プロジェクトであっても、地元の反対が強ければ建設は難しい。
しかし地元としたら大きなカネを落とす原発だ。森山はこの微妙なバランスの中で関西電力側の信頼を得ていったのかもしれない。
死人に口無しで終わらせるのか死人に口無し。今後、どんな展開になるか分からないが、関電社長らは金銭の授受は認めている。
少なくとも大阪地検特捜部は金銭授受のあった関係者、森山に賄賂を渡した業者からは事情を聴くべきだ。
もりもと なおき