日本の全上場企業などが採用実績から判断し、最も評価が高かったのは北海道大学だった。2位は横浜国立大学、3位は名古屋大学。意外というか当然というか、東大、早稲田、慶應はベスト10には入れなかった。世間のネームバリューと企業の評価はどうも違うようだ。

全上場企業など4814社が、学生と大学を評価
日本経済新聞と就職・転職支援の日経HRが調査した。対象は全上場企業と一部有力未上場企業4814社。
2018年4月~20年3月の2年間で新卒社員として採用実績のある大学を人数の多い順に10校まで挙げてもらい、「学生のイメージ」と「大学の取り組みへのイメージ」の2つを聞いた。かなり大規模な調査となったようだ。
各大学の学生のイメージについては「行動力」「対人力」「知力・学力」「独創性」の4つの側面で。より多くの学生を評価するため、19年と20年の調査を合算して集計した。
ベスト10は全て国立大学で東大、早慶は外れる
それによるとベスト10は①北海道大学②横浜国立大学③名古屋大学④京都大学⑤東北大学⑥広島大学⑦東京工業大学⑧九州大学⑨筑波大学⑩大阪大学、一橋大学となった。
ちなみに東大は14位、早稲田12位、慶應15位と、ベスト10から漏れた。これでももちろん立派な高い評価だが、ネームバリューほどではなかったかもしれない。
北大は行動力、対人力でトップ、名大は知力・学力高く
総合ランキング1位の北大は「行動力」「対人力」で1位、「独創性」で2位。2026年の創基150周年に向け、国際社会で活躍できる人材の育成を整備しているが、早くも実りつつある。
具体的には実践的英語力育成や海外留学、フィールドワークなどで協調性やリーダーシップを養う特別プログラム「新渡戸カレッジ」を始動している。
総合2位は横浜国立大学、3位は名古屋大学だが、横浜国大は「行動力」「対人力」で2位、名大は「知力・学力」が2位だった。

雇用を増やしたい大学はトップ福岡工大、2位文教大
"採用を増やしたい大学"では福岡工業大学が1位、文教大学が2位。ともに知名度は高くないが、人事担当者の目に止まったようだ。

福岡工大(写真)は『素直な学生が多く入社からの成長が早い』。文教大学は『真面目な人が多く、人の育成や管理に適した人材だ』と評価された。
3位に入った国立の宇都宮大学は総合でも19位に食い込む健闘ぶり。『我慢強く、誠実に物事に向き合う』との、学生や大学にとって誇らしい評価となった。
注目している大学はトップ国際教養大学、2位が立命館アジア太平洋大学で、ともに国際性が関心を集めた。
今回の調査結果は、良い人材を求める企業にとって大いに参考になるだろうし、大学自体が教育内容を見直すきっかけにもなると考える。
もりもとなおき