今度は北区長に挑戦とは忙しい男だ
政治家には風をよむ力と運は大切だ。しかし風に乗る決断力。そして運を自分に引き寄せる能力があって初めて政治家になることができる。
そんな意味でそれを絵に描いたように体現しているのが、私の若い友人で東京都議会議員の音喜多駿君だ。この度彼が自身の出身地である北区長選挙に挑戦のニュースを聞き、意外と思いつつも、さもありなんと感じている。
すでに現職の花川與惣太氏(83)が5期目の出馬を表明しており、共産党候補と三つ巴の戦いの公算だ。
その都度、風に乗り運を掴んできたしたたかさ
音喜多君とはみんなの党で知り合った。2013年の都議選前、みんなの党の会合で公認候補として紹介されたが、『こいつはあかんやろ』と、思ったのが正直なところだった。
なぜなら華奢でなよなよしている。全然、早稲田っぽくない。勤務先はルイ・ヴィトン?キザだなと。まぁ、男としての迫力に欠けた訳だ(当時は彼が空手の有段者などと、知る由もなかった)
しかし定数5の北区選挙区で最下位の5位に滑り込んだ。若者中心の選挙戦はどんなものだったかは知らない。
当時のみんなの党は一時の人気はやや陰りを見せていたものの、無名の青年を最下位に滑り込ませる最後の力は残っていたのだろう。
そしてみんなの党崩壊。北区の都議定数も1減に。さすがに次は無いが、仲間うちの彼への評価だった。
ところが都知事選挙で自民党を出た小池百合子旋風が巻き起こった。
誤解なきよう。彼は人気に便乗した訳じゃない。小池が知事になるなんて誰も思ってなく、世論調査の動向もまだまだ。
そんな時、いの一番に駆けつけて仲間たちと自分たちの"小池選対"を組んだ。小池が彼らを"ファーストペンギン"と呼んだのは、そんな理由からだ。
見切る早さと新たな展開を作る能力の高さ
しかしここまで小池選挙に尽力したのに、側から見たても都民ファースト内の音喜多への冷遇ぶりは酷かった。
すると数ヶ月後、あっと言う間に小池に反旗を翻し、都民ファーストを離脱したのには驚いたが、この決断力にも驚いた。
当初は小池側近としてテレビのワイドショーでも大活躍。『小池人気を利用しただけ』との批判は未だにくすぶっている。
しかしそれ以上に小池の都政運営のお粗末さが次々と露呈。音喜多君の先見性と決断力が際立ってしまった。
そのあとは流石に次の一手はないだろうと、私も思っていた。そこへ『新しい党』という地域政党の立ち上げ。
新党をつくるためクラウドファンディングを利用したが、これも予想に反して瞬く間の1000万円超え。
潜在的な支持の多さをこれでも示した。
党首としてどんな戦いをするか興味津々だ
党首として統一地方選挙にはたくさんの区議、市議を公認している。2期目を目指す愛妻江東区議の三次ゆりかさんも出ている。
これまで新聞や週刊誌にも書かれるなど、いろんなバッシングもあったが、凄いのは彼のメンタルの強さ。
雑音に対しては黙らず泣き寝入りせず、学生時代から続く自身のブログできっちり反証してきている。
彼の目標は衆院議員だ。しかし当選したら北区長をステップアップの道具にはせず、恐らく23区で一番目立つ区長になると思う。
そうすることが次のポジションに繋がっていくことを、この若さで知っているのがちょっと悔しい。
老獪な現職にどんな戦いを挑むのか、それも楽しみだ。
とにかくこんな政治家はこれまでひとりも見たことはない。
もりもと なおき