東京千代田の石川雅己区長(79)は元東京都の職員。そして区長5期目ともなれば地方自治法は熟知しているだろう。こんなデタラメが通用する訳がないことは承知のはずだ。よほど追い詰められているのかもしれない。

動物に優しい区長だったが、どうしたのか?
千代田区は行政による動物の殺処分ゼロの自治体で有名。猫のTNR活動に取り組む私の知人の女性は、石川区長の理解が有ればこそと、いつも高く評価していた。
だから私も多選するだけの能力と人望のある人なんだろうと、思っていただけに意外な行動だった。まさかお年のせいなのか?

デタラメな議会解散通知は自身の疑惑隠しか?
今回のトラブルは全く石川区長に分は無い。自身の黒い疑惑が追及される中での突然の議会解散宣言だ。解散通知を基に『議会は存在しない』と主張しているが、区議ら区民も一様に唖然とするしかない。
解散通知はもちろん議長が受け取りを拒否している。区選管ももちろんこの解散通知は無効とした。

マンション取得で業者が優遇と、区議ら
そもそもこの疑惑はこういうことだ。
石川区長は家族と共同で千代田区内の高級住宅街に1億円の部屋を所有している。
しかしこの部屋は、土地の所有者や得意客に提供される「事業協力者住戸」と呼ばれる一般に販売されない部屋だったことが明らかに。
このため区議会は建設許認可に権限を持つ石川区長が、業者に優遇された可能性があると判断、百条委員会を設置し、疑惑を追及していたさなかだった。

『事実上の私への不信任だから、解散』だというとんでも解釈
石川区長は一連の議会の動きに、『私に対する事実上の不信任。だから解散宣言した』としている。
しかし不信任案はあくまで議会が提出し、議会の3分のに2以上の出席があり、4分の3以上の賛成があって初めて成立する。これで初めて首長は失職するか、議会解散を選択できるのだ。
こうした手続き無く首長が解散を宣言するなど、地方自治法には無い。
当然、解散する必要もない。しかし厄介なのは区長が招集しない限り、議会は開会できない。このまま時間だけが過ぎていけば、区の行政も停滞したままとなる。
今回の石川区長の対応は疑惑以前の問題だろう。議会解散より自ら辞職しかない。
もりもとなおき