自宅近くの塾の前を通ると外に『大学共通入学テストまであと○○日』と大書きしてある。
これがあと200日とかだったら気にもならないが、30日を切っていると何故かお尻の辺りがキューンとなる。自分が追い立てられる感じになるのだ。
自分どころか子どもたちだって遥か昔に終わってるのに…
いやいや、これが"トラウマ"というものなんだろう。
大学受験の厳しさは、団塊世代+ポスト団塊のわれら世代が臨んだ時代と今では厳しさは比較にならない。

当時は今に比べ受験生は軽く倍はいたが、大学の数は恐らく3分の1以下くらいだったからだ。
そして団塊世代の子どもたち団塊ジュニアも数は多かったし進学率が格段に高くなっていたから、この世代もキツかった。
だから国立大学の競争率は軒並み10倍を超えてたし、私立でも有名大学は普通に10倍を大きく超えていた。

記憶にあるのは田中角栄元首相の『日本列島改造論』がベストセラーになった年などは、工学部の建築学科はとんでもない倍率になった。
ほのかに建築を希望(オヤジの希望)したが、『これではとても無理だな』と。

国公立の建築学科など医学部並みの難しさと言われたし、私立でも東京理科大建築、芝浦工大建築、武蔵工大建築など"建築御三家"はとんでもないことになっていた。
記憶にあるのは'72だったか東京理科大建築が実質倍率が30倍を超え話題を集めたことだ。
あと、われわれ世代は気になることもあった。ちょっと上の団塊世代は'69年の東大入試中止が尾を引き、そのしわ寄せで2〜3浪とかがまだ残っていたことだ。
実際、自分が受験した早稲田や中央などは体感で、こうしたオヤジが会場に30%はいたような気もする。
彼らの『世界史の研究』や『古文100選』みたいな参考書はほとんどゴミみたいにボロボロで、どーんとこれ見よがしに受験会場の机の上に出していた。
自分の勉強不足を痛感し、見ただけで絶望的な気持ちになったものだ(しかし優秀なら3浪はしないか…)

今はこの時期、指定校推薦やAO入試ですでに進学先が決まっている生徒は多い。半分くらいいるかもしれない。
こんな生徒は残りの高校生活を目一杯、楽しんで欲しいが、本気で頑張り、スパートかけてる子の邪魔はくれぐれもしないように。
もりもとなおき