全存在感かけて仕事をすれば、倍返ししたいヤツはいる
長いあいだ生きていると誰でも倍返ししたいくらい許せないヤツはいるだろう。無い人はそれだけ自分の存在感をかけた仕事はしてこなかったのかもしれない。
しかし半沢直樹を見ていると毎日、毎日、理不尽なことにあれだけ熱く、腹を立てながら生きていたら相当、くたびれるだろう。
このドラマはもちろんフィクションだが、実際にあった日本の経済界の事件が浮かんでくるから楽しい。
今、破綻しつつあり、半沢ら銀行が再建のために闘っている帝国航空のモデルはもちろん2010年初めに破綻した日本航空だ。
そして日航の再建は自民党から2009年秋、民主党に政権交代した過度期にあった大経済破綻だった。

江口のりこ扮する白井国交大臣、実際は前原誠司氏
銀行に債権放棄を求めている江口のりこ扮する白井国土交通大臣は女性であり、役柄での立ち振る舞いは蓮舫さんを彷彿とさせるが、実際は当時の国交大臣は前原誠司氏だ。

前原誠司大臣だった
そして白井大臣を後ろで操っている悪党然とした実力者は、当然、民主党政権で幹事長だった小沢一郎さんだろう。
実際は民主党政権は、完全な政治主導で再建を成し遂げたかったんだろうが、大臣としては前原さんは力量的になかなか大変だったイメージはある。
実際に銀行に債権放棄させることはできなかった
現実にメガバンクに債権放棄させることは、前原大臣はできなかった。そして発足したばかりの企業再生支援機構が再建に乗り出した。
半沢が在籍する東京中央銀行は、当時の三菱東京UFJ銀行であることは、間違いない。国策銀行はもちろん日本政策投資銀行だった。
メガバンクはそれぞれ債権放棄は求められたはずで、東京中央銀行以外も壮絶な闘いはあったとみるのが、自然だろう。
やはりフィクション、有り得ないやり取りも
やはりフィクションだから、いずれの役柄もオーバーアクションだ。
例えば白井国土交通大臣が東京中央銀行の頭取(北大路欣也)に電話をし、恫喝まがいの要求をするが現実にはあり得ない。
総理大臣であってもメガバンクの頭取に電話をするとしたら、相当な礼を尽くすはずだ。相手は日本の経済界の頂点に位置する人物だから。
また片岡愛之助扮する金融庁の銀行監督官、黒崎に、半沢クラスの銀行マンが対等に言葉をぶつけ合うのは現実にはあり得ない。

まだ大蔵省が財務省、金融庁に分割される前、大蔵省の銀行監督指導担当はモフ担と呼ばれ、金融機関は下にも置かない扱いだったと言われる。下手に出てへーこらすることはあっても、半沢のようにぶつかり合うことは絶対、なかったはずだ。
今シリーズは実際にあった日本航空の破綻をモチーフにしているから、当時のニュースを振り返りながらドラマを観ると、もっと面白い。
もりもとなおき