ゴミの中にも特ダネのネタがある
警察担当記者の新人の時、キャップのH先輩に、徳島東署を回ったら捜査や防犯の部屋でクズかごをたまに点検するように言われた。
課長や係長は大切な事件メモを丸めて捨てているかもしれない。
刑事は書き損じた被疑者調書を、デスクの横のクズかごに捨てているかもしれない。
実際、クズかごのメモが特ダネに繋がったことはなかったが、『そのくらいどん欲にやれ』との教えだったような気がする。
このおかげで刑事一、二課では『もーさんに見られるからむやみに書き損じた紙を捨てるな』ということになり、部屋のクズかごはいつも清潔だった。
厚労省の書類ゴミを漁り咎められた日経記者は、見上げた記者魂だ
さて、最近はネタを探すためのゴミあさりは褒められるどころか記者として恥ずかしい行為のようだ。
今月、早朝、厚生労働省の地下のゴミ集積場で、ゴミの書類を漁っていた日本経済新聞の30代の記者が、職員に見つかり咎められたという。
彼は財務省記者クラブ所属。財研といわれ、経済記者としての花形部署。来年度予算案を巡り各省庁と財務省が攻防を続ける中、とりわけ厚労省保険局担当の診療報酬の改定数値が注目されていたことから、その手がかりをゴミの中から探そうとしていたらしい。
麻生財務大臣も『来年度予算においては、診療報酬が大きな論点となる』と述べていたから、なんとか他社に先駆けたかったんだろう。
私など、見上げた記者魂と評価したいが、どうも最近は社によってはあまり褒められた取材活動ではないようだ。

厚労省が問題視、日経は直ぐさま謝罪し、記者は内勤に
どうも厚労省は新聞記者のゴミあさりが気に食わなかったようだ。問題視たのかまず日経の厚労省担当キャップに抗議。連絡を受けた日経の経済部長は直ちに厚労省の広報室長に謝罪したという。
件の記者は現場取材から外され、会社に上がっているという。経済部で金融庁担当の後、今の担当で、日経でも本流コース。私は相当なやり手の記者だったと思う。
私が上司なら褒めてやったと思う
私など感覚的に社内では褒められて然るべき取材活動と思うが、やはり日経は上品なのか?
朝日、毎日、読売だったらどんな対応だっただろう。恐らく読売なら結構、褒められるようなきがする。