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吉野彰さんと『ろうそくの科学』。人生決める一冊は誰にもある

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一冊の本が人の人生を決めたり変えたりすることは良くある。

昨年、ノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰さん。小学4年生の時、担任の津田喜恵先生ろうそくの科学(ファラデー著)を読むように勧められ、その本を読んだことによって科学する心が芽生えたと、振り返っている。

そしてその先生と出会わなかったら、ろうそくの科学も読んでいない可能性が高く、今の自分はいなかっただろうと。

私なども小学生の時、毎月配本される科学雑誌の紹介でろうそくの科学を知り、購入して読んだ。

しかしなるほどと思う程度で、その本をきっかけにどんどん科学への好奇心が湧いてくることはなかった。
その程度の子どもだったんだと思う。

ろうそくの科学がどれだけの自然科学者を産み出したことか

先日、テレビ局が吉野さんにこの本を勧めた小学の担任を捜し出したが、津田先生は現在83才でお元気に。

吉野さんにろうそくの科学を読むことを勧めた津田先生と吉野さん(当時)

津田さんによると吉野さんはやはり少年時代から光るものがあったようだ。

恐らくノーベル賞までいかなくとも、ろうそくの科学を読んで科学や化学の道に進んだ子どもたちは、吉野さん以外にも世界中でたくさんいるだろうと思う。

人生を決める一冊の本はある

私も自分の人生を決めた明確な一冊はある。朝日新聞の記者だった本多勝一氏が、ベトナム戦争を300日に渡って取材した『戦場の村』だ。

ベトナム戦争には多くの国の記者が取材に入ったが、自由主義圏の記者はアメリカ軍と南ベトナム政府軍に従軍しての取材が主だった。

しかし本多勝一氏だけはアメリカや政府軍と戦う南ベトナム民族解放戦線の中に入って取材をした自由主義圏では初めての記者だった。

弱者の立場に立つことを教えてくれた

当然、侵略される側の取材が主で、世界の通信社や新聞とは全く違った切り口は、記者の矜恃のようなものを強烈に示していた。

18才の時、『戦場の村』を読まなければ、新聞の記事を書く仕事などに興味は湧かなかったと考える。

若者も大人も活字離れが酷い。良い本があれば吉野さんの担任の先生のように、子どもたちに勧める社会環境は大切だと思う。

もりもと  なおき

  • この記事を書いた人

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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