同じ高裁で異なる判断。伊方原発再稼働へ
以前、このブログでも紹介したが、四国はこの夏、ほんの一瞬だったが、計算上、太陽光、風力などの自然エネルギーだけで、電力使用を賄えたとの嬉しいニュースがあった。
だからこうした理由からも、多くの人に四国電力伊方原発は再稼働する必要はないんじゃないかとの思いはあった。
しかしこの思いに反し、このほど広島高裁が伊方原発3号機の再稼働を認める決定を下した。昨年12月に同じ広島高裁が差し止め決定を出していただけに、裁判長が変わると180度異なる判決には驚きだ。
左が再稼働される3号機
再稼働は来月27日から予定されているというが、南海トラフの巨大地震の心配もこれからずっと続く中で、伊方原発への不安は続く。
◆伊方は絵に描いたような国策原発
四国は人口が少ない上に大規模な工業地帯も少なく、総電力使用量が沖縄を除く他の電力会社エリアより極端に少ない。
だから原発を稼働させると原発への依存度が大幅にアップする。ここが国の原発政策の中でも重要視されてきた所以、いわば国策原発だ。
いざ稼働すると一見、依存度は異常に高くなるが、原発が停止している間も、四国の電力は十二分に賄えた。
◆四電の火山リスク想定は過少
この裁判は、広島や長崎の被爆者らが、阿蘇カルデラの噴火の可能性などを理由に、2016年3月に伊方原発の運転差し止めを求めて、広島地裁に提訴と仮処分を申請。
同地裁は昨年3月に差し止めを認めない決定を下したため、住民側は広島高裁に即時抗告を行った。
昨年12月の即時抗告審決定は、同原発から約130キロ離れた熊本県の阿蘇カルデラで大規模噴火が起きれば、火砕流が原発敷地内に到達する可能性があるとして、四国電力の火山リスクの想定は過小と判断した。
高裁の国の行政追認、大いに疑問
しかし今回は「大規模な破局的噴火が起きる可能性の根拠が示されていない」などとして、別の裁判長が正反対の結論を。「運転期間中に大規模噴火が起きる可能性は低い」と主張した四国電力の主張を全面的に認める形となった。
確かに火山噴火による原発事故の可能性は高くはない。しかし、もし原発事故が起これば取り返しがつかないことは、東京電力福島第一原発で分かったはずだ。他の災害と同様の扱いはおかしいと思う。
この度の決定は、国が原発事故に火山噴火を想定していないから社会通念上、大丈夫というものだった。
高裁が国の行政を追認するような判断にも、大いなる疑問を感じました。
今回の決定は将来に禍根を残すような気がしてならない。
もりもと なおき