営業とは人との繋がりと信用だとつくづく思う。モノを売るのはもちろん、サービスを提供する商売はそのことを痛感する。
どこの会社にも伝説の営業マンがいるが、やはり人脈だ。
私の人生の親分とも言えるのは徳島新聞社時代の上司で、後に県公安委員会委員長となった工藤教夫さん(故人)という方だ。
新聞の役員時代も来客は引きも切らなかったが、新聞の社長になることを毅然と拒否するような人だった。

退職後は関連の旅行会社の社長になったが、のんびりいくのかと思ったら、ダイナミックな営業を展開した。
中国へのチャーター便などバンバン就航させたし、豪華客船も何度も寄港させた。
そしてその都度、飛行機は満席だし、高額な客船もいつも売り切れにする。
横で"セールストーク"を聞いたこともあったが、とにかく断る人を見たことがなかった。もちろん私もだ(汗)
いい機会だな。行ってみようかと客に思わせる力があった。

当時、大手旅行代理店の徳島支店長として赴任した私の友人は『工藤社長と重なってしまったのが私の不運です』と、工藤さんの営業力にお手上げだった。
とにかく普段から面倒くさがらず、どんなことでも人のお世話をした。人脈は徳島一だったのは間違いない。
凄いのは皆んな工藤さんに頼まれたら、嬉々として結構、高額な旅行を申し込んだ。
今、この新聞社の旅行関連会社はどうなっているんだろう。工藤さんが亡くなってから、足を踏み入れたこともない。
いや、どこにあるんだろうか?
そして娘の話しで恐縮だが、彼女はスイスやアメリカなどの外資系投資銀行を経て、今はヨーロッパの巨大総合企業の日本法人でIT営業を担当している。
モノを売る商売などできるのか?と心配したが、この1年は半導体を売りまくり、ベテランのオヤジたちの何人分もの売り上げを達成したようだ。

やはり学生時代からの人脈(弁護士や外資勤務が多い)と、これまでの男まさりの酒席の付き合いで築いてきた人脈の賜物なんだろう。
カラダがもっと丈夫ならとは思うが、その関係からかドクター人脈も豊富なのがナゾ。
友人らが体調悪いと直ぐに在京のいろんな大学病院のドクターに連絡し、命を助けたこともある。
人脈は人生を豊かにするんだなと、工藤の親分を見て思ったし、娘にもさらに豊かな人脈を築いて欲しい。
もりもとなおき