日本のサラリーマンと共に会社人生を歩んだ島耕作
日本一有名なサラリーマン、課長島耕作〜現・会長島耕作が間もなく最終回を迎えるそうな。
1983年に週刊モーニングというコミック誌で連載スタートだから、なんと36年に及ぶ島のサラリーマン人生を描いたことになる。

作者の弘兼憲史さんが元松下電器産業(現パナソニック)のサラリーマンだから、島耕作のサラリーマン生活の舞台となる初芝電器産業は、まさに松下電器がビジネスモデルになっていたようだ。
スタートした時は、オフィスラブに身を焦がすようなキャラで、それほどパッとしたサラリーマンじゃなかった。
しかしまさかの出世魚よろしく、大企業のてっぺんまで上り詰めるとは、連載当初は夢にも思わなかった。

島のように出世したサラリーマンは、ごく僅かだが経団連にはいる
課長から部長、取締役から常務、専務に。そしてついに社長に就任した時など日経新聞にまで掲載されたから、同時代の企業戦士にとって気になる存在ではあったのだろう。
ストーリー展開は、実社会と同時進行。経済的難題が次々と島と初芝電器に降りかかる。
もちろん失敗し左遷されたこともあるが、大抵は巧く乗り切り順調に出世するなど、いつのまにかスーパーサラリーマンに。
とにかくうらやましいくらい、女にモテ、女が救世主になった
そして企業につきものの派閥抗争や経営戦略という闘い。常に絡み合う羨ましいばかりの女性関係。
同世代である団塊の世代のサラリーマンの心を鷲掴みにし、社会現象にもなった。
個人的にも島は早稲田の先輩。部長島耕作の頃は、彼を見て大企業でのサラリーマン生活に憧れたものだった。
節目節目に何故か島の救世主になるようなとびきりの魅力的な女性が登場した。やはり大町久美子が最高だったが。

そしてやっぱり男は仕事ができて力が無いと、イイ女は抱けないんだという非情で残酷な現実を、世の全ての男に知らしめた島耕作でもあった。
日本の経済界のリーダーのひとりとして島耕作は何ができたのか
バブルの時代からバブル崩壊。そして失われた20年。
日本を代表する大企業の役員には日本経済を浮揚させる責任はあると思うが、さて島はどうだったんだろう。
団塊の世代なのに全共闘のバリバリの活動家だった気配はなく、やはり学生時代はノンポリだったのか。
島が企業人として企業の論理と社会正義の狭間で悩むこともそんなになかったんじゃないんだろうか。
そういう意味では、まさに日本の経済人の典型だったのかもしれない。

弘兼憲史さんにはこの後、さらにリアルな島耕作を描いていただきたいが、本当に終わってしまうのだろうか?
もりもと なおき