何一つ罪も無い人たちが一度に殺害されるという不条理
『京都アニメーション』放火殺人事件は、重体だった被害者のうちの1人が亡くなりこれまでに35人もが犠牲になっている。大量殺人では、今世紀にはいり最悪となっている。

アメリカの銃乱射事件のような銃器を使用したものはないものの、わが国でも何の罪もないたくさんの人が事件に巻き込まれる大量殺人事件は、間違いなく増えている。
ここ10年ほどを見てもトラックで繁華街に突っ込み刃物で7人を殺害した秋葉原通り魔事件(2008)
会社をリストラされた男が「生きていくのが嫌になった」として大阪・難波の雑居ビル1階の個室ビデオ店に放火し16人を殺害した大阪個室ビデオ店放火事件(2008年)など、
6人以上殺害した事件はなんと11件にも及んでいる。
障害者施設を襲撃、入所者19人を殺害の異常で許せない動機
また、知的障害者福祉施設『津久井やまゆり園』に元施設職員の植松聖(29)が侵入し、入所者19人を刺殺した相模原障害者施設殺傷事件など、犯行動機が『重度障害者は不幸をつくる』と述べるなど、極めて理不尽な、異常な動機だ。

今回の京都アニメーション事件の犯人である青葉真司(41)は本人もまだ重篤で、全く事情聴取はできていない。

判明している大量殺人事件では過去最多の被害者。なんとか回復させ、動機を明らかにしなければならないだろう。
このほか神奈川県座間市のアパート自室にて、SNSで知り合った女性ら9人を次々に殺害し、遺体を室内に遺棄した座間9遺体事件(2017)も異常な犯行だった。
宮崎県高千穂町の民家にて小学生の子供含む一家5人と知人男性の計6人の遺体が発見され、犯人の次男は橋から飛び降り自殺した高千穂6人殺害事件(2018)
横浜市・旧大口病院の4階病棟で2016年7月〜9月に48人も死亡しているが、2年後に殺人容疑で逮捕された看護師の女は『20人ぐらいの点滴に消毒液ヂアミトールを入れた』と供述した。しかしこの連続点滴中毒死事件(2016)などは、遺体も無く大半が裏づけは取れていない。
被害者個人への明確な殺意なく、社会の病理とも言える犯行
これまでの事件で共通しているのは、一般的な殺人事件のように、被害者個人に対する明確な殺意がないケースが大半だ。
社会に対する怒りであったり、思い込みであったり、犯行動機がひじょうに曖昧で理解できないケースがあまりに多い。
だから精神鑑定には相当な時間を要し、例えば津久井やまゆり園事件の植松は、すでに犯行から3年が経過しているが、やっと初公判日程が決まっただけだ。
被害者は少人数にとどまっても、一歩間違えれば大量殺人に繋がる通り魔事件も起こっている。
やはり社会の病理として犯人らを詳しく調べる必要があるだろう。社会がきちんと対応しないと、こうしたモンスターはますます増えてくるだろう。
もりもと なおき