高い進学率は高等教育に相応しくない大学、学生をも生む
この春の大学進学率が4年連続で伸び、ことしは53.7% と史上最高となった。
来年は一部無償化も進みさらに上がることが確実。数年後には70%に達するとの見方も出ている。
しかし果たして喜ばしいことなんだろうか。これだけ進学率が高くなると極めて残念な大学や残念な学生たちも急増している。
高い進学率は不足する若い労働力も奪っている現実。そして高等教育にふさわしくない極めて低レベルで杜撰な経営の学校法人にも多額の税金が使われ、国民に負担を強いていることを、改めて考えるべきだろう。


高等教育の無償化で、さらに進学率上昇は確実
進学率は文部科学省が発表した2019年度の学校基本調査でわかった。
53.7%の数字は前年度比0.4ポイント増で、4年連続過去最高となった。
男女別では男子56.6%で女子50.7%を上回ったが、その差はこれまでの最小だった。
来春始まる高等教育の無償化で大学進学率の上昇はまだ今後も続くとみられている。
大学・大学院で女子学生が占める割合は増加しており、大学の学部では45.4%(前年度比0.3ポイント増)、大学院の修士課程31.6%(同0.3ポイント増)、博士課程33.8%(同0.2ポイント増)で、いずれも過去最高だった。
これらは女子のキャリア志向はもちろんだが、短大が減っていることも要因。
大学進学率は初めて20%を超えたのが1972年で21.6%、30%を超えたのは1994年で30.1%、40%を超えたのが2002年で40.5%だった。
半世紀で私立大学が約500校も増加。文科省役人の天下り先にも
一方、大学の数は1955年には228校だったが、50年後の2005年には726校と、半世紀でなんと3倍以上に増加。
2010年以降は増加は止まり、780校になっている。
国公立の大学はほとんど横ばいだから私立大学が500も増えたことになる。
私立大学の激増で得をしたのは、天下り先が増えた文科省の役人だろう。
大学法人が増えれば当然、補助金などが増え税負担が増える。
まともな研究や教育もできていない大学に補助金がいくことで、本来、多額の研究費が必要な大学が、あおりを受け、引いては日本の学問、研究が後退する。
大学進学率が異常に高くなるのは、決して喜ばしいことではないかもしれない。
もりもと なおき