ことし4月、国家公務員総合職(キャリア)に採用された女性は全体の35.4%、3人に1人以上となり、過去最高を記録した。
願わくば順調に昇進し、女性らしい公平で忖度のない官僚機構と国民本位の行政を確立して欲しい。心から期待したい。
女性官僚が半数超えた省庁も
霞が関官僚の激務が敬遠され、国家公務員の志望者数は減少傾向にある。
とりわけ東大生の割合が年々、大きく減っている。
しかし女性に関して言えば優秀な女性たちの間で逆に人気が高まり、10年ほど前から女性が増加してきた。
全体の採用者の割合は、6年前の2014年は23.9%だったからこの春は10ポイント以上も増えた。
省庁によっては、法務省の女性比率がもっとも多く62.2%、外務省が53.3%、公取委、消費者庁ともに50.0%と半数以上が女性になった(いずれもキャリア官僚)
なぜ女性官僚が増えてきたのだろうか
官僚のキャリア職は実は男社会ではない。官僚になるためには、男女ともに国家公務員試験(総合職)をクリアする必要がある。
この試験はどこかの私立医科大学のように女性にハンデはつけない。
極めて透明性は高いから、採用にされれば自らのキャリア形成が見通せるようだ。
以前、総務省に調査に訪れた時、3人が対応してくれたが、課長補佐と係長2人、いずれも総合職の女性キャリア官僚だった。
示してくれたデータの的確さ、現状の問題点と将来への見通しなど、私の調査したいことを完璧なまでに説明いただいた。
こんな人たちが総務部長、副知事クラスで都道府県へ赴任すれば、地方行政に大きなインパクトを与えてくれるだろうと、思ったものだ。
高まる女性官僚の管理職比率
女性の管理職比率も高まっている。総合職では、2020年3月時点で「室長級」の女性比率は11.8%(1782人のうち女性は210人)いる。女性比率は8%だから、それより高い。
課長級は6.1%(1664人のうち102人)で女性比率とほぼおなじだから、順調に昇進している証左だ。
例えば本省課長補佐相当職の女性比率は2008年5.2%だったが、2019年には11.6%と、倍に増えている。
女性官僚の活躍には職場環境の見直しが不可欠
今後、職場環境が改善されれば、さらに管理職は増えるのは間違いない。育休制度やテレワークの充実、異常な残業時間の見直し…改革が進めばさらに女性官僚の活躍の場は広がる。
これまでに在任中、大阪地検特捜部に逮捕されながら冤罪が証明された村木厚子さんは復帰後、厚労事務次官まで登り詰めた。
また、最近では経産官僚から、宗像直子さんが特許庁長官となるなど、実力を発揮している。
採用が増えれば当然、要職に就く女性官僚は増えてくる。頑張って欲しいものだ。
もりもとなおき