妻殺害の夫とその母親の異常性
この事件はニュースになった時、妻を殺害した男と母親の関わりに極めて異常なものを感じたのは、私だけではなかったと思う。
息子は妻殺害計画を母親に相談、実行したことに、母親へのLINEで『1人じゃ(殺害は)思い切れなかったよ』と。
母親も『そう言ってもらえるとオカンも救われる』と返信した。
裁判長はきちんとと2人の罪の深さを断罪。2人に対しそれぞれ懲役の間、人間として考えるべきことを伝えるなど、判決には心打たれた。
また母親にはLINEのやり取りから『幇助の故意が認められる』と、求刑を上回る懲役刑を宣告。裁判長のこの事件と被害者への思いを強く感じた。
母親の求刑上回る懲役刑は異例
妻を殺害し実家に遺体を埋めたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた千葉県柏市の元銀行員、弥谷鷹仁被告(37)と、殺人幇助罪などに問われた鷹仁被告の母恵美被告(64)の裁判員裁判の判決が千葉地裁であり、岡部豪裁判長は鷹仁被告に懲役15年(求刑懲役17年)、恵美被告には求刑を上回る懲役7年(求刑懲役6年)を言い渡した。
求刑を上回る懲役刑を宣告するのは極めて異例中の異例だ。

この事件は妻麻衣子さん(当時30)が
強迫性障害を患い、鷹仁被告が手を焼いていたこと。娘にも危害が及ぶことを恐れ、殺害に至ったとされる。
母親は息子の犯行を止めることができた存在
こうした動機に裁判長は『ほかの手段を十分に尽くさないまま短絡的に殺害に及んだ』と非難。
両被告が麻衣子さんが行方不明になったことを装う計画を綿密に練り、LINEや秘密の場所に置いた手紙でやりとりしていたことを挙げ『用意周到かつ巧妙な犯行計画で、完全犯罪をもくろんでいた』とも指摘した。
母親には『親として冷静な観点から息子の誤った考えを正すべき立場にあったにもかかわらず、殺害を積極的に手助けした』と認定した。
あくまでニュースで知った知識だが、私もこの事件は精神的に追い詰められた息子の相談に、母親がきちんと対応していたら絶対に防ぐことのできた殺人だったと思う。
なぜ母親は夫や息子の妻の実家と、問題を共有しなかったのだろうか。
母親とマザコン息子の異常さが際立つ事件だった。
もりもと なおき