子は親の所有物じゃない
先日も出産後1年以内の女性の死因のトップは自殺というショッキングなニュースがあったばかり。
東京文京区で母親が8ヶ月の乳児を含む子ども3人を道連れに、無理心中したとみられるニュースは、育児に苦労する女性たちにまた暗い影を落としている。
最近、子どもを道連れにした無理心中が多いような気がする。どんなに子どもが小さくても親とは全くの別人格、みんな生きる権利がある。親はいかなる理由があろうとも、子を殺めたら完全な殺人だ。子どもは親の所有物じゃない。
東京都文京区本郷のマンション1室で26日朝、母子4人が死亡しているのを、帰宅した夫(46)が見つけた。
子ども3人の死因は窒息死、母親(36)はクローゼットで首を吊っていた。母親は経済的にも3人(長女10才、長男5才、次女8ヶ月)の子育てに不安を抱えていたらしい。警視庁は無理心中を図ったとみている。
親子心中の現場は悲惨でことばもない
新聞記者時代、子どもを道連れにしたたくさんの無理心中事件を取材した。
子どもを殺害したあと、自らが命を絶つケース、家族全員でのクルマでの排ガス心中、子ども2人を抱えてビルから飛び降りた壮絶な心中もあった。
大半が就寝中、子どもたちは何も知らないままに親に手をかけられている。いや、明らかに抵抗したケースもあった。
自分が死んだあとの子どもたちのことを考えたら不憫で、残して置くのが忍びなかったんだろう。その気持ちだけは理解できなくもないが、最後にこの子たちの未来を考え、なぜ踏みとどまらなかったんだと、いつも考えた。
夫・父親の責任は重大
それにしても子育て中のお母さんが自殺や心中を試みるのは、本当にやるせない。行政の支援はもちろん必要だが、最も身近な存在の夫の関わりが不可欠だ。
きちんと妻の話しを聞いているか。育児に協力しているか。家事を分担しているか。こんな基本的なことだけでもできていれば、お母さんたちは心からリラックスする。
パートナーの責任は重く、大きい。
もりもと なおき