無人の校舎にガソリンがまかれ、凄まじい火災だった
9月1日の新学期がくるといつも半世紀前の出来事を思い出す。
朝一番のニュースで知ってはいたが、自分の通っていた名古屋市内の高校に登校すると、木造校舎は無残にも完全に焼け落ちていた。
ある生徒が翌日からの実力テスト阻止のため、深夜に校舎の廊下にガソリンを撒き火を放ったものだった。
もう一つの木造校舎にもガソリンは撒かれていたが、こちらには火を放つのはためらったようだ。
この校舎焼失で私たち2年生全10クラスは、向こう7ヶ月間、急ごしらへの狭いプレハブ教室で授業をすることになった。
(校舎焼失以前から、鉄筋校舎の建設が進んでいた)
思春期の高校生にとって、精神的なダメージの大きな事件ではあったが、教室のその狭さが幸いしたんだと思う。
ギュウギュウ詰めのため、クラスの皆んなとの物理的距離感が無くなった。勉強も部活も遊びも本当に濃く楽しい日々で、新校舎に移るのがみんな嫌だったのを覚えている。

'70年安保前夜、世の中は騒然とし、時代に押し流されそうだった
時あたかも'70安保闘争前夜。世の中は騒然としていたし、いろんな出来事が私たちの学園生活にも否応なく影響を与えた時代だった。
秋の文化祭。恒例のファイアーストームをいつも通り行うか、この年は中止にするか生徒会や各クラスでカンカンガクガクの議論となった。
私は学校周辺の皆さんに対し、また大きな火は洒落にならないと中止派だったが結局、強硬派に押し切られ、規模を小さくして行なわれた。
街には由紀さおりの「夜明けのスキャット」や、BJトーマスの「雨に濡れても」が流れていた。
犯人の生徒はその後、どんな人生を歩んだんだろうと考えると、切なくなる。
写真は当時のプレハブ教室前、仲良しグループで。前列右から2人目の男前がオレ(笑)
もりもと なおき