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学費出世払い制度、第2の貸与型奨学金にならないのか?

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出世しなかったらどうする?

自民党の教育再生実行本部が、大学授業料を在学中は国が立て替え、卒業後に各々の所得に応じて返済する制度導入を盛り込んだ提言案をまとめた。

いわゆる"出世払い"制度だ。

多くの卒業生が返済に苦慮している貸付奨学金制度の二の舞にならないかと、危惧する声も出ているから、より慎重さを求めたい。

提言案によると対象は世帯年収、1100万円未満の学生。

毎月の返済額を住民税の課税所得の9%、最低2000円と設定される。

入学金28万円に加え、国公立大学の場合、授業料約54万円を国が肩代わりする。

制度導入当初の運営費は約9800億円。財源は財政投融資などを活用を予定している。

返せない奨学金制度の二の舞いにならないか

ここ数年、返せない貸与型奨学金が社会問題化している。

その要因の一つが上がり続けていバカ高い大学の授業料だ。多くの家計を圧迫している。

例えば東京の私立大学を例にとると、一般的に文系、最低80~150万円(年間)理系、最低120~200万円(同)といったところ。もちろん医、薬学部は除く。

私立に比べ負担は少ない国公立はどうか。これは全国ほぼ一律で、安いといっても学部にかかわらず約54万円(年間)といったところだ。

あと私立、国公立ともに入学金は別となり初年度納入金は世界一という。

高い学費が家計を圧迫

子どもが2~3人いる家庭ではこの負担が重なり、7~8年は大きな支出が続くことになる。

わが国のサラリーマンの平均年収は下がり続け415万円ほど。半数が大学へ子どもを進学させており家計の大変さが伝わってくる。

それでもみんなが国公立にいければ良いのだが、大学の比率は国公立3に対し70%が私立へ進学する。

昭和40年代国公立はなんと年12000円!私立でも文系だと8万円(年間)が主流だった。

国公立は月額わずか1000円で、当時の物価から判断してもタダ同然だったことがわかる。(公立高校より、負担が少なかった)

しかしながらこの40数年間で国公立は約45倍!私立は約10数倍!

家庭の年収はこの間、せいぜい3~4倍だから、いかに負担増となったか。

こうした背景から、奨学金制度に頼らざるを得ない学生が激増。借りすぎにより、卒業後、就職がうまくいかなかった場合、返済困難に陥る利用者が増え、社会問題化している。

新制度であっても、第2の貸付奨学金制度になる恐れもある。世帯年収1100万円以下となっているが、せめて800万円以下として、対象者を減らす努力も必要。

さらに本人審査を厳密に。学生個々の学問への意欲の有無を貸与の重要な条件にすべきだろう。

もりもと なおき

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森本 尚樹 早稲田大学卒。元新聞記者。約20年間、県議会議員を務めました。現在は福祉関連の会社の参与と在京シンクタンクの研究顧問

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