安倍首相は23日午前の参院予算委員会で、東京オリンピックを延期する可能性があることを初めて、言及した。これで一気に五輪延期に向け、全ての日程が動きそうだ。

山口香氏の見識ある発言に山下JOC会長が的外れな批判
これまでJOC関係者では元女子柔道メダリストでJOC理事の筑波大学教授山口香さんが、五輪について『延期すべき』と、明確に口にしていた。
これについて山下泰裕JOC会長が『色々な意見があるのは当然だが、JOCの中の人が、そういう発言をするのは極めて残念』と批判したが、敢えて内部から勇気ある発言をした山口さんの毅然とした姿勢に賛同の声が高まっている。

日本は延期を口に出せない変な空気がある
山口さんは先日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、朝日新聞の取材に答えた。
その中で山口さんは『アスリートが十分に練習できていない状況での開催は、アスリートファーストではない。延期すべき』と、明確に延期を口にした。
そして山口さんは『世界中で正常な生活が送れない状況がある中で、7月に開催して誰が喜ぶのか』と。
またさらに『コロナウイルスとの戦いは戦争に例えられているが、日本は負けると分かっていても反対できない空気がある』と指摘。
『JOCもアスリートも"延期の方が良いのでは"と言えない空気があるのでは』などと、朝日新聞の記者に語った。
独メルケル首相はコロナとの戦いは戦争だーと
ドイツのメルケル首相はコロナウイルスとの戦いを『第二大戦以来の戦争』と位置付けている。
そして世界の競技団体やワシントンポストなど有力なメディアが、中止を要請していることを山口さんはJOC委理事として冷静に受け止めているのだろう。
山下会長の根拠無き強気の姿勢と、まさに対照的な見識を見せた。
極めて見識高く、世界見据えた女子柔道指導者
柔ちゃんと言えばオリンピックに3大会出場し金メダル2、銀メダル1に輝いた谷亮子さんのことだが、山口さんは女三四郎と呼ばれた。

人気柔道漫画『YAWARA!』のモデルともなった女子柔道家で、'88年のソウル五輪で、日本女子柔道では初のメダル(銅メダル)に輝いた。世界選手権も制覇している。
これまで武蔵大学教授、筑波大学教授の傍ら、日本の女子柔道界を牽引してきた。柔道家らしい凛とした姿勢と世界を見据えた正しい目は、日本オリンピック委員会の委員に本当にふさわしい人だと思う。
もりもと なおき