宮下順子と梶芽衣子はともに団塊の世代だ。ある意味その世代を体現した女優だろう。宮下順子はポルノという表現で、梶芽衣子は作品のなかで既成の価値観と闘ったと思う。

思い出の女優さん2人がおばあちゃん役に
最近観た映画『罪の声』に私が若い頃、大ファンだった梶芽衣子と宮下順子が出演していたが、2人ともおばあちゃん役だった。
宮下順子はグリコ森永事件関係者の妻で、老人施設で生き別れた息子と再会するシーンだった。
梶芽衣子は主人公、星野源の母親役。重大な秘密を息子に伝え、旅だった。
かつての日活ロマンポルノの女王も個性派女優に
宮下順子といえば日活ロマンポルノの女王、大スターだった。
『四畳半襖の裏張り』『昼下がりの情事・すすり泣き』とかの名艶技は、こんなエッチなお姉さんがいるのかと思ったものだ。
私はもう25年ほど前になるが、知人で映画館をいくつか経営していた社長さに宮下順子のファンだったことを話したら、何と食事をセットしていただいたことがあった。
ドキドキの初対面で言葉が見つからず、『その節はお世話になりました』と挨拶したら、直ぐに呑み込んでくれ、大笑いしてくれた。
その頃はもう40代半ばを過ぎていたがやはり艶っぽい雰囲気は往時のまま。すでにポルノは卒業し、個性派俳優として日本映画には欠かせぬ存在だった。

梶芽衣子『女囚さそり』は受験の苦い思い出
梶芽衣子はやはり『女囚さそり』シリーズが忘れられない。私にはさそりは苦い思い出もある。

明日から連日、早稲田の受験が始まるという前日、下見に行った帰りに高田馬場の映画館に『女囚さそり』の看板が。
何を思ったかついフラフラと入ってしまった。もちろん映画くらいどうってことはないんだが、館内が寒いこと。
恐らく風邪をひきかかっていたのかもしれない。
夜半から熱が出て、朝起きたら喉が焼けるように痛く、38°5分も。
その日から5日間、5学部連続のスタートから完全にバンザイだった。
だから梶芽衣子〜受験〜怨み節がいまだ条件反射となる。
ともに団塊の世代の女優さん。やはり当時も今も何となく他の女優さんとは違う匂いがする。
もりもとなおき