メディア、特に新聞社の労働組合の活動で一番大切なことは、編集権を守ることに尽きると思う。
上層部の現場への介入は許さない。つまり記事が、上層部の意向で潰されたり改ざんされたりしないようにすることだ。

そして変な意図を感じさせる不合理な人事異動には強く異議を唱える。
さらに新聞にとって広告スポンサーは神様のような存在だ。しかしスポンサーに何か重大な不祥事などが起こっても、記事は絶対に押さえてはならない。スポンサーひとつ失う以上の信頼を失うから。
そしてもう一つ。経営陣の姿勢もいつも問うこと。労使対等、おかしなことは団交の席できっちり追及すべきだろう。
私もサラリーマンだから労働組合の役員は経験した。しかし賃上げや公休取得、人員増などの組合的要求は興味はなかった。
だからそれは他の役員に任せ、徳島新聞の編集権を守るとの気概で3年間、"新研部長"(新聞研究部)いう、紙面のあり方を追求する役割をひとりで担った。

私はこの間、社側から編集への介入など1ミリもさせなかった。営業サイド、販売サイドの上司、先輩らも、私の姿勢はひじょうに理解してくれた。
『ホンマにスポンサーで困った時は、内緒で僕に直で言ってくださいよ』とまで言ってあげたくらい、スポンサーサイドの圧力はなかったというより排除できた。
また、役員との団交では問題ある役員については名指しで問題点を指摘し、進退まで迫ったこともあった。

そして最も大切なこととして社説も私はチェックした。社説=社論だから、論説委員長(役員)の独りよがりな論調は決して許されないからだ。
3回ほど内容について厳しく指摘し、社の恥ではあるが、新聞労連の機関紙にも依頼され、寄稿した。
実は思い切りやれたのは当時の井端社長、坂田総務局長(次の社長)の2人はともに編集出身。新人記者時代から坂田さんにはとりわけ目をかけていただいていたからだ(笑)
まぁ、こんな人間的繋がり有ればこそでした。
最近の徳島新聞はきちんと編集権を守るため、現場の記者は闘えているんだろうか?
というより、記事そのものに強いものと闘う姿勢が全く感じられず、編集権云々以前の問題のような気がするんだが…
一層の奮起を促したい。
もりもとなおき