ことしも赤穂浪士たちの討ち入りの日が過ぎた。
『忠臣蔵』はタイトルは微妙に変われど、子どもの時から映画やドラマで何十回も観てきた。なぜ飽きることなく毎回、面白いんだろう。

浅野内匠頭が正義で、その家臣らに仇討ちされた吉良上野介が敵役みたいなイメージを筋書きとしてずっとわれわれは植え付けられてきた。でもこれは全く史実ではないようだ。
とにかく原因となった殿中での浅野による刃傷沙汰の原因さえ諸説あり、本当のことは分かっていない。
その中の一つに殿中に上がる時の装束で浅野が吉良に恥をかかされたというのがある。
つまり現代風に分かりやすく言うと、その日殿中に上がる服装について浅野が吉良に尋ねたとしよう(事実、吉良はその専門家だった)
吉良は本来、その日はモーニングか紋付袴、最低でもタキシードで臨むべきなのに『普段の平服で全然、大丈夫!』だよと。
バカ正直にジャケットと綿パンで来た浅野に吉良が『君はなんて非常識なんだ。きょうそのカッコでお城に来るとは!』と、わざと恥をかかせ笑いものにした、というものだ。
実は私も同じ恥をかかされたことがあるから分かる。
あるお洒落な団体のパーティーに招かれたときだ。主催者の1人の後輩に当日の服装を尋ねたところ『先輩、いつものジャケットで全然いいですよ』と。
当日、言われた通りの格好で会場のホテルを訪れたところ男はタキシード、女はカクテルドレスだった(唖然!)
頭にきた私はその後輩に『オマエ、俺に恥じをかかせやがって!忠臣蔵みたいなことするな!』と怒ったが、無教養な彼には意味は通じなかった。
何年か前、東京墨田区の吉良邸を訪ねたことがあるが、地元では名君として名高かったようだ(写真)


それと浅野には家臣は200人ほどいたが、仇討ちに参加したのは大石内蔵助ら47士。誰もが主君のためにと、イキっていた訳じゃなかった。
もりもとなおき