学年の半分〜3分の1が医学部に進学する高校がある。自然じゃないね
この春、全国の国公立、私立大学の医学部に現役で大量に進学し、なおかつ合格率の高い高校のランキングを見て、優秀なんだなと思う反面、何とも言えない違和感を感じてしまった。患者に寄り添う医師の在り方を考えると、不安も感じざるを得ない。
データをみると医学部があるのは国公立大学50、私立、大学校(自治医大)32で計82校。
合格率トップは女子校御三家のひとつ桜蔭(東京)で、卒業生231人に対し122人が合格。なんと現役合格者比率は52.8%という高さ。
2位は国立の筑波大学附属駒場(東京)卒業生162人に対し現役合格52人で32.1%、凄いのは東大理3(医学部)が17人もいた。
3位は共に兵庫県の灘と白陵。
これらは合格した上位校だが、最多の合格者を出したのは名古屋の東海で、何と208人が医学部合格だった(卒業生425人で、現役は116人)
最高峰東大医学部
偏差値だけで医学部を目指すことへの違和感
こうした数字に対し考え方は様々と思いますが、私はなぜか違和感を禁じ得ない。
全ての受験生の近年の傾向として、成績の良い生徒はなぜか医学部を志望するのは全国的傾向だ。その結果、地方の大学であっても、医学部だけは東大並みの高い偏差値を誇るようになり、ますます秀才君たちの目標になっている。
まずひとつ目の違和感だが、医学部を目指す成績の良い生徒全員に明確な目標があるのか。ただ高い山に登ってみたいだけの志望者も、相当数いると考える。
そして二つ目。同じ学校から全校生徒の半分とか三分の一が医学部に行くってどうなんだ。生徒の価値観が横並びになり、友だちに負けまいとするプライドだけで進路を選んでいないのか。
そして三つ目。こうした名門高校の生徒は、親の職業が医師のケースが圧倒的に多い。自らの適正抜きに後を継ぐという理由だけで医学部進学を決めていないか。
幅広い人材が目指せる医学部を
まあ、老婆心ながらこんな心配をしています。
例えば大学の文学部に同じ高校の半分が、農学部に同じ高校の三分の一が受験するとなったら、これは誰でも違和感を感じると思います。
それが医学部だと"凄いな!"とランキングをつけるというのは、私は大丈夫かなと感じます。
高齢化の中、慢性的な医師不足であり、優秀なドクターはますます必要になってくるでしょう。どんな時代もやはり"医は仁術"。受験の成績だけじゃなく、いろんな人材が医師を目指して欲しい。
ちなみに上位30校は私立が28校、国立が2校。都立や県立、市立という公立高校はひとつも入っていなかった。
もりもと なおき