吉田拓郎さんがついに現役を引退する。来月、テレビのバラエティ番組の最終回が最後のテレビ出演になると発表があったし、今週には新アルバム『ahー面白かった』が発売されるが、人生ラストアルバムとなる。


思えば僕の音楽人生のど真ん中が拓郎さんだった。それは17才の時、ラジオの深夜放送で聴き衝撃をうけた『イメージの詩』からスタートした。
この歌の
闘い続ける人の心/誰もが分かってるなら/闘い続ける人の心は/あんなには燃えないだろう
この歌詞は17才の僕の心に強烈なインパクトとと共にしっかりと刻まれた。
そしてきょうまでの50余年、挫けそうになった時、現状から逃げ出したくなった時、ずっと闘う心に火を灯してくれたのだ。
それは高校時代の安保闘争であったり、大学受験であったり、就職であったり。
新聞記者の仕事は日に日に闘いの連続だったし、もちろんその後の選挙も人生を賭けた闘いでもあった。
そして…
やっともう闘うことも無くなった。これからは心安らかにと思った矢先ではあった。
ステージ4という厄介な癌が、人生の最終章に待ち構えていたのだ。
でも告知された時、もう癌と闘うのはやめ死を受け入れようと考えた。そして眠れないままYouTubeで音楽を聴いていた時…拓郎さんのこの歌が僕の心にまた火をつけてしまったのだった。
"闘わなくともきちんと病気と向き合おう"と。
そして名曲『今日までそしてあしたから』は、
私は今日まで生きてきました/そして今私は思っています/明日からもこうして生きていくだろうと
と、私に説いた。

伝説のつま恋コンサートにもいった。2006年のコンサートは3万5000人が集まったが、ほぼ全員が団塊からポスト団塊の50代のおじさん、おばさんでまさに拓郎を囲む同窓会。


コンサートが終わっても帰ることなく、みんながギターをかき鳴らし掛川駅前で『マークII』『ある雨の情景』『落陽』を深夜まで大合唱したものだ。
拓郎さん、本当に長い間、ありがとう。でもまだまだ歌は聴き続けるよ。
もりもとなおき