大学入試は秋には合格の決まる指定校推薦やAO入試など、一般入試以外の選抜方法を選ぶ高校生が急速に増えてきた。一般と比べほぼ半々に近づいている。しかし早く合格を決めた生徒が卒業まで有意義に過ごすことを、文科省は真剣に検討すべきだろう。数ヶ月無為に過ごす生徒はあまりに多い。

増え続ける推薦、AO入試での合格、入学者
ことしはコロナ禍の中の先行き不安から、年明けの一般入試を避け、推薦などでひと足早く進学先を決めた受験生も多かったのではないだろうか。
私立大学は指定校推薦、AO入試など、多くが今月中には本人に合否通知される。
こうした推薦を中心とした受験の多様化、さらに少子化も重なり大学の合格率・入学率はひと昔前に比べ格段に高くなっている。
その結果、浪人する受験生も年々、減少しており、大手予備校の縮小もニュースになっている。
数字を見てもここ数年の浪人率は受験生の7.7人に1人だ。これは過去にさかのぼると1992年は3人に1人、1985年は2.5人に1人と、浪人率は40%にも及んだ。
団塊世代の受験生時代は60%以上が浪人だったと思う。
大学入学後に目立つ推薦と一般入試合格者の学力差
そして入学試験の多様化に伴い、どの大学でも問題となっているのは、センター試験〜大学別選抜試験で合格し大学に入る学生に比べ、推薦やAO入試の学生はかなり学力が低いことが指摘されている。
元々の学力差はそんなにないはずだがやはり8月、9月に出願し、秋に決まってしまえば春まで全く勉強をしない。
その結果、最後まで頑張っている生徒とは学力差ができるのは不可避だろう。とりわけ英語や数学で大きな差が出るようだ。
秋の推薦合格から入学までの時間を大切にしたい
高校の進路担当の教員と話しをすると、一般入試の生徒に迷惑をかけないよう、静かにしておいて欲しいとのことだ。しかしやはり合格を決めた生徒に遊ぶなというのは無理があるようだ。
大学によって一般以外の合格者割合は異なるが、推薦やAOが定員の半数を軽く超えている大学も多い。
もちろん高校によっても割合は違うが、推薦合格者が過半数ともなれば、こうした状態を高校としても放置するのは、いかがなものかとは思う。
英語と数学の特別授業の必要性考えるべきだ
少なくとも2〜3ヶ月、早々と進学先を決めている生徒を対象に、英語と数学(理系のみ)だけでも強化できないものだろうか。
もちろん受験英語じゃなく英会話を中心にしたものは、大学や専門学校に進学後も役に立つ。
さらに理系といっても大学に入って数学でつまずく学生は本当に多いようだ。もう一度、基礎からやり直しをするのは全く無駄にはならない。
本来なら各高校単位で考えるべき問題だが、文部科学省が対応すべき問題かもしれない。
とにかく秋から卒業まで、大切な高校生活の締めくくりだ。
半数近い高校生が推薦で大学が決まったからと数ヶ月間を遊んで無為に過ごすのはあまりにもったい無い。
もりもとなおき