一般受験が少なくなるほど見せかけの偏差値となる
偏差値70の大学など昔は東大でもなかったが、今は私立でも何校かあるから驚く。
これはどうも大学そのものがレベルアップしたのではなく、推薦合格者が増えた分、一般受験枠が極端に狭まり、そこに偏差値の高い優秀な受験生が殺到するためだ。
予備校などが偏差値を算出するのは一般受験での結果からなので、当然高くなる。
大学によっては敢えて一般受験枠を小さくし、見かけの偏差値を引き上げている大学もあるようだ。
こんな大学に限って一般受験で合格の優秀な受験生は入学しないケースは多い。
実際、公表は偏差値60の大学学部でも、入学者の"実力"はそれより5〜6点低いケースもあるという。

偏差値=学生の質の目安ではないケースが多い
少子化の中、受験生は激減しているが、逆に一般受験の競争率は人気の大学はひじょうに高くなっているのには、こうした背景がある。
そしてそのハイレベルな合格者の偏差値が、その大学学部の偏差値として公表されるから、難関大学が増えてきたような一面もある。
ある大学では大手予備校模試の偏差値は60近くあるが、実際に入学した学生の受験生時代の偏差値はそれより5〜6ポイント下だった。これなどは一般受験以外が多い、ひとつの証明だ。
年々増え続けるAO、推薦入試はすでに54%も
文部科学省が毎年発表している『国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要』によると、2014年度の私立大学入学者は、AO入試10.3%(4万8129人)、推薦入試39.7%(18万6329人)で、合わせて50.0%だった。
一般受験とAO・推薦などの入学者は半々だった。この場合推薦入試は公募推薦(自己推薦)、指定校推薦。
そして3年後、2019年度入学者になると、AO入試による入学者は11.6%(5万6184人)、推薦入試による入学者は42.6%(20万6672人)で、54.2%に増えていた。
この傾向は今後もさらに拡大する。
こんな時こそ難関といわれる大学に挑戦を
新制度の大学入学共通テストに加え、コロナ禍の20年度入試は、何が起こるか分からないという不安から、早々とAOや推薦で決めている受験生は多いようだ。
これもコロナ禍の影響か。首都圏の難関校は受験者が軒並み減少するとの予備校のデータもある。
受験生は安全圏を求めて難関校を敬遠する傾向がさらに強くなっているというが、受けないことには始まらない。
偏差値のマジックを知った上で秋以降、成績が伸びている受験生は、難関校に挑戦するのも面白い。
もりもとなおき